雑賀一族の伝記が復刻 和歌山市に刊行報告

日本雑賀一族会が雑賀衆の歴史を描く『日本雑賀一族伝記』の復刻版が刊行され、同会初代会長・雑賀伊一郎氏の息子である雑賀圭五さん(87)が5月29日に和歌山市役所を訪れ、尾花正啓市長に刊行を報告した。

同書は当時文化財保護委員だった郷土史家の貴志康親さんが執筆し、1973年に刊行された。織田信長と浄土真宗本願寺勢力が10年近く争った石山合戦(1570)を中心に雑賀衆の動向を解説している。江戸時代の「紀伊続風土記」からの抜粋や古文書、同市関戸にある矢宮神社の由緒なども記載。

日本雑賀一族会がなくなった後、雑賀さんが孫市の会(森下幸生会長)らの協力を得て伝記刊行後の資料を新たに追加して復刻版を刊行した。現在は国会図書館や兵庫県立図書館で閲覧できる。

雑賀さんは「資料として置いておいていただき、使ってもらえたらありがたい。興味を持ってくれる人が手に取ってくれれば」と話し、森下会長や尾花市長と共に「雑賀孫市の銅像ができて駅の待ち合わせ場所になれば」と雑賀衆を盛り上げていく方法についても語り合った。

復刻版の伝記を手に尾花市長㊧と雑賀さん

復刻版の伝記を手に尾花市長㊧と雑賀さん