岩出に観光誘客 市とタクシー会社がタッグ
高野山を訪れる観光客に岩出市に立ち寄り市内周遊を楽しんでもらおうと、市と相互タクシー㈱(和歌山県和歌山市松島)がタッグを組み、観光客誘致に乗り出した。関東方面からの観光客を毎日、JR和歌山駅から高野山へ案内している同社。道中にある岩出への来訪を期待する市は、「観光施設が集積し、少しの空き時間があれば見て回れる。高野山へ向かう途中にぜひ寄って」とPRしている。
北部に和泉山脈が広がり、南部には紀の川が流れる岩出市は、38・5平方㌔の小さな町ながらも大阪や和歌山中心部とのアクセスが良く、ベッドタウンとして栄えてきた。県内では数少ない、人口が増え続けてきた地域だが、2017年度をピークに人口減の兆しが見え始めた。市は「人が減ってからでは遅い。早い段階で手を打ち、交流人口を増やしたい」と4年ほど前から観光事業に本腰を入れ始めた。
観光施設は京奈和道岩出根来インターチェンジ(IC)の半径3㌔以内にあり、日本最大の木造多宝塔が残る根来寺や、明治期に建てられた議事堂を復元した旧和歌山県会議事堂、四季折々の花が楽しめる県植物公園緑花センターなどがある。2017年4月に登録された道の駅「ねごろ歴史の丘」は旬の野菜や魚を使った料理が食べられる飲食施設や岩出の観光情報などを発信する「ねごろ歴史資料館」も併設しており人気を集めている。
同年3月には岩出根来ICと和歌山ジャンクション(JTC)の区間が開通。京奈和道の県内区間が阪和道とつながり、ますます交通が便利になった。
観光ハイヤーのサービスを手掛ける相互タクシーでは年2回、「観光研修」を行っており、「観光ガイドのできるドライバー」の養成に力を入れている。5月下旬に同社で開かれた研修には、岩出市産業振興課の担当者と「いわで語り部クラブ」事務局長の家原護さんが出席。約30人のドライバーを前に岩出の観光スポットや根来寺の歴史、特産品などについて語り、「交通の要衝ゆえに〈通過地点〉となってしまうのが悩み。高野山との歴史的なつながりも深いので、ぜひお客さんに紹介を」と呼び掛けた。
同社の瀧川秀樹常務取締役は「これまで目的地の高野山に直行することが多かったが、途中の立ち寄り先として岩出もご案内したい」と話していた。