空気感と調和を楽しむ ガラスと布の2人展
京都の染織作家・上田恭子さん(64)と、兵庫のガラス工芸作家・山本佳子さん(62)の2人展「Two Colors」が10日まで、和歌山県和歌山市十二番丁のMsギャラリー12番丁で開かれている。
上田さんは、主に「絹紗」(きぬしゃ)と呼ばれる透ける布を使い、植物染料や弁柄などで染色。透明感のあるストールや洋服、タペストリーなどを展示している。
絹やポリエステル、バードネットなどの素材を重ねたタペストリーもあり「風や水、夢の中にいるような浮遊するイメージ」と上田さん。
山本さんは板ガラスを細く切り、重ね合わせて電気炉で焼いて制作。「ガラスの博物史」は鳥の頭部の骨格を標本のように繊細に表現している。「鳥になる種」と題したシリーズは、葉脈や種子のオブジェが一つひとつ透明ケースに入れられ、まるで植物採集のよう。山本さんは「花粉や種など、モチーフは自然物。生命の循環を予兆させるものが多いですね」と話す。
神秘的な作品に、訪れた女性は「この世の物とは思えないほど、美しいです」と驚きながら見入っていた。
山本さんは「2人の作品の空気感や、色のハーモニーをお楽しみいただければ」、上田さんは「植物や自然という面で共通点のある作品。生きる喜びや楽しさが伝わればうれしいです」と話している。
午前11時から午後7時(最終日は5時)まで。5日休み。問い合わせは同ギャラリー(℡073・431・8255)。