リノベで市街地活性化 和市とJRが協定
既存の建築物を改修し、価値を高める「リノベーション」によるまちづくりの取り組みについて、和歌山県和歌山市とJR西日本和歌山支社(伊藤義彦支社長)は4日、連携協定を結び、市役所で締結式を行った。市によると、鉄道会社と自治体によるリノベーションに関する協定は全国で初めて。
市は2014年から「リノベーションスクール」を開催。受講生と専門家が3日間の集中講義で事業計画を作成し、市内にある7件の遊休不動産を改修しており、本町の「石窯ポポロ」や新通の「ゲストハウスリコ」など新たな事業と雇用が生まれている。受講生が手掛けた取り組みも10件に上り、5社のまちづくり会社も誕生している。
同支社は地域共生企業として、安全で持続可能な鉄道・交通サービスの実現のため、駅前の魅力向上や観光誘客などを進めており、こうした両者の取り組みを発展させるのが今回の協定の目的。
市と同支社は、紀陽銀行や南海電鉄と共に一昨年、東京急行電鉄が主催するリノベーションスクールに参加。その後、市主催のスクールに同支社職員が参加したのをきっかけに、沿線のまちづくりを通して観光・産業振興を図ろうと協定の締結に至った。
今秋開催予定の本年度第1回のリノベーションスクールは市と同支社が共催する他、今後は両者で物件のリノベーションなどの取り組みを進めていく。
市長室で協定書に署名した伊藤支社長は「まちづくりと交通サービスを合わせて進めており、地域との連携強化も進んでいる。リノベーションの成果を出している和歌山市と共に中心街の活性化ができたらうれしい。駅周辺も大事だが、まずはまち全体が盛り上がらなければ」と意気込み、尾花正啓市長は「JRという大きな会社と協定できたことは、取り組みの弾みになる。ノウハウを学び、リノベーションを加速していきたい」と話した。