愛犬とそろいの帽子 池上商店がクラファン
野球帽を中心にオリジナル帽子の製造・販売を手掛ける池上商店YUKIBOU(和歌山県紀美野町動木、池上由喜生社長)は、家族の一員としてペットを大切にする家庭の増加に着目し、「ワンちゃんとお揃いでかぶれる帽子」を開発し、販売している。5月からはクラウドファンディングを活用する県の支援対象プロジェクトの認定を受け、商品のPRや市場調査などに乗り出しており、今後の発展が期待されている。
同社は、1996年からプロ野球選手の帽子を手掛け、確かな縫製技術により一般向けのオーダーメードの帽子も製造販売している。犬用の小型の帽子にも高度な技術を生かし、耳を出す穴をくりぬいた形状など、細部に至るまで丁寧な縫製で仕上げ、丈夫で長く使える製品にこだわっている。
犬用の帽子は、約20年前に池上社長が飼っていた雑種犬「クロ」に帽子をかぶせたところ、似合っていたことがきっかけで誕生。以降、注文があれば製造していたが、2014年に家業を手伝い始めた長男の浩輔さん(29)がブランド「YUKIBOU」を立ち上げ、新事業として本格的に取り組み始めた。
浩輔さんによると、愛犬家の増加や飼い犬の高齢化に伴い、ファッションとしての楽しみに加え、日差し対策や目の健康のために帽子を使う人も多くなっているという。
浩輔さんは20代前半の頃、神戸の大手生花店で顧客の希望に応じたユニークな植え込みなどを手掛け、親切な接客に努めてきた。その経験を生かし、職人肌の父が培ってきた確かな技術で生み出されるオリジナル帽子を、幅広く、効果的にPRする方法を模索している。
今回のクラウドファンディングは新たな方法の一つとして選んだ。県の支援認定は、中小企業者などが取り組む新事業展開に関する取り組みで、事業の継続性、発展性が見込まれると県が認めた事業が対象となり、金融機関や支援機関との連携によるサポート体制を構築し、事業展開を支援する。
「ワンちゃんとお揃いでかぶれる帽子」は、岡山県産のデニム生地を使い、愛犬と一緒にかぶって楽しめる。クラウドファンディングでは、5500円から1万8700円までのコースを設定し、2S・S・M・Lのサイズから自由に選べる。募集目標額は20万円、7月2日までとなっている。
13日現在で集まっている金額は目標の30%。イベント会場などでは試着が可能なため関心を持つ人も多いが、インターネットでPRの場合、サイズ展開や説明の方法などに工夫の余地があると浩輔さんは感じている。
今後は販売方法にもさらに工夫を加えていく考えで、浩輔さんは「『こんな帽子見たことない』と言われるようなオリジナル帽子を作り続けていきたい」と意気込んでいる。
商品の詳細はクラウドファンディングサイト「マクアケ」(https://www.makuake.com/project/yukibou-cap/)。