涼やかに風鈴祭り 海南市の2神社で

 和歌山県海南市の宇賀部神社(小野田、小野田典生宮司)と春日神社(大野中、三上秀信宮司)の境内には風鈴が飾られ、風が通るたびに「チリン、チリン」という軽やかな音色が響き、参拝者を楽しませている。15日まで。

 風鈴を飾る「風鈴祭り」は元々、春日神社の恒例の行事。規模を大きくし、市内では昨年まで、9年にわたって神社や観光、伝統産業共催で「かいなん夢風鈴まつり」が開かれた。

 宇賀部神社では、定着した取り組みを引き続き多くの人に楽しんでもらおうと、ことしも風鈴を飾った。参拝者らは、境内の木製アーチに並んだ風鈴の涼やかな音色に耳を傾けながら、ことし後半の無病息災を願っている。

 拝殿では同社と所縁のあるフィリピンからの帰還兵・小野田寛郎さんの写真や資料なども展示し、西日本災害復興支援の募金活動も行っている。

 春日神社では祭りの初日となった1日、三上宮司が災害鎮静や芸能上達、産業振興などを願って祝詞を奏上。続いて第20回春日万葉の森歌垣大会と第13回「熊野・高野」短歌・俳句大会の表彰式が行われ、優秀作品が発表された。

 また、拝殿では海南文化協会による邦楽演奏があり、市指定無形民俗文化財のつつてん踊りや小唄などが奉納された。

 各大会の受賞作品は次の通り。

 【春日万葉の森歌垣大会】〈俳句〉明賞=「曲がりたる指は妣似や種を蒔く」(紙谷信子、和歌山市)▽浄賞=「箱あける前より香り桜餅」(大西丘子、海南市)〈短歌〉明賞=「目覚めたる春の山野を駆けめぐる光よ風よアフロディーテよ」(山田泰生)▽浄賞=「子守唄歌ってもらひ子に歌ひ独りの今はわれにうたへり」(赤井順子)

 【熊野】〈俳句〉神社本庁統理賞=「神佛の力ひとつに那智の瀧」(曽根澄子、和歌山市)▽県神社庁長賞=「炭太き熊野の宿の夏炉かな」(太田妙子、和歌山市)〈短歌〉神社本庁統理賞=「熊野道のぼる遍路の鈴の音行き過ぎてより久しく鳴れり」(好井晶子、香川県)▽県神社庁長賞=「土を踏み風に聞きゆき人に逢う熊野古道に心澄みゆく」(松田容典、和歌山市)

 【高野】〈俳句〉神社本庁統理賞=「山菜も洗ふ高野の雪解水」(北野惠美子、和歌山市)▽県神社庁長賞=「万緑や寺に極楽地獄絵図」(福本まり子、和歌山市)

涼しげな風鈴のアーチ(宇賀部神社)

涼しげな風鈴のアーチ(宇賀部神社)