粉河祭渡御式の大うちわ初展示 産土神社
和歌山県紀の川市粉河の粉河産土神社(中山淑文宮司)は、祭礼「粉河祭」の渡御式で使われる「大うちわ」を境内に展示している。
渡御式は2年に1度行われ、粉河寺の開基とされる大伴孔子古(おおとものくじこ)の子・船主が奥州征伐に向かい、賊徒を退治して凱旋したときの姿を伝えるといわれる。馬にまたがった稚児や裃(かみしも)を着けた人々が練り歩く。
ことしは7月28、29両日に予定されていた粉河祭が台風12号の接近により中止となったことから、初めて展示することになった。
うちわは柄を含め高さ約3㍍、あおぐ部分は直径約1・5㍍、重さ約30㌔。竹を組み合わせた骨組みの上に和紙を貼っており、片面には同神社の紋の「巴(ともえ)」が描かれ、反対の面には行列に登場する馬の疾走する姿が描かれている。中山宮司によると、かつて粉河で疫病が流行し、それを打ち払おうとの思いから大うちわが作られたという。
祭りで使うと和紙が破れるなど傷んでしまうが、ことしは中止となったため、きれいな状態。2本展示しており、終了時期は未定。
中山宮司は「粉河祭にだんじりが出ることは知っている人でも、大うちわのことはあまり知りません。ぜひこの機会に見に来てほしい」と話している。