紀の国住宅ベスト100 グッドデザイン賞
日本デザイン振興会(東京)主催の「2018年度グッドデザイン賞・ベスト100」に、紀の国住宅㈱(和歌山県和歌山市餌差町)が和歌山大学と共同で取り組んだ戸建て住宅「きの家」が選ばれた。
同賞は、生活の質を向上させ社会を豊かにする「デザイン」を顕彰するもの。本年度は4789件の応募があり、独自性、提案性、審美性などの点が評価された1353件が受賞。県内からは唯一、「きの家」がベスト100に入った。31日にグッドデザイン大賞などの特別賞が発表される。
「きの家」は同大システム工学部の高砂正弘教授がデザインを担当した。土間や広間、離れなど古くからの日本の住まいで使われてきた間取りを生かし、シンプルで機能的な家をデザインした。
「和歌山の特徴を持つ住宅」を目指し、外壁には紀州産の焼き杉を使用。漆喰壁は県産の土を、柱や内装には紀州ヒノキをふんだんに使った。仕切りが少ない内部は広々とした吹き抜け構造で、木の香りが漂う温かみのある空間となっている。庭に面した大きな窓も特徴で、「風が通り抜けるような心地よい家」(同社)に仕上がった。地元大学と協力した点や、「地元産材にこだわり、地場住宅メーカーとして真剣にあるべき姿を模索している」ことなどが評価され、本年度の審査委員86人による「私の選んだ一品」にも選出された。
高砂教授のデザインをもとに同社はことし1月、和歌山インター近くの展示場で着工。7月に完成した。林裕介常務取締役は「初めから賞を狙って取り組んだ思い入れのある住宅で、評価を頂き地方の一中小企業として大変光栄。受賞は社員たちの励みにもなる。和歌山の住宅メーカーとしてこれからも良質な住宅を造っていきたい」と喜んでいた。