畑田、上南家住宅など 国登録有形文化財に
国の文化審議会(佐藤信会長)は和歌山県海南市の畑田家住宅の2件の建造物や、紀美野町の上南家住宅の4件の建造物など合わせて10件を、登録有形文化財にするよう、文部科学大臣に答申した。これにより、県内の国登録有形文化財(建造物)は82カ所243件になる。
海南市船尾の畑田家住宅は黒江の有力な漆器問屋・木下重兵衛家の分家として1929年に建設された。
主屋は木造2階建、入母屋(いりもや)造、桟瓦葺き。1階の出格子窓や2階の黒漆喰塗が特徴の重厚な外観。内部はヒノキの良材を駆使した造りで、近代住宅地の歴史的景観の核となる良質な近代和風住宅であると評価された。
紀美野町谷の上南家住宅は、木造平屋建て、入母屋造、桟瓦葺きで、江戸中期に建てられ、明治後期に改修されたとされる。
かつては旧道を通る旅人の茶屋だった。養蚕(ようさん)が行われていたこともあり、現在は民泊施設として活用されており、貴志川山間部農家の伝統的な住まいの構成をよく伝えていることが評価された。
この他、カナダ移民の集落「アメリカ村」の象徴的な建物として知られる旧野田家住宅(美浜町)、このほどゲストハウスとして活用することを目的に改修された遊心庵(旧田中家住宅、同町)が新たに登録される見込みとなった。