「しまなみ海道」で体験型観光
前号まで15週にわたり「西条藩を知る」をお送りした。和歌山市から新幹線を乗り継ぎ約4時間30分。距離にして400㌔と決して近くはないが、本州と四国を結ぶ連絡橋の整備が進み、昨今のサイクリングブームで、風光明媚(めいび)な瀬戸内を巡る旅も人気の一つ。今週は、西条市の隣町、タオルの生産で有名な愛媛県今治市と対岸の広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」を紹介したい。
しまなみ海道の正式な名称は「西瀬戸自動車道」。3ルートある本州四国連絡道路(明石海峡大橋を通る神戸・鳴門ルート、瀬戸大橋を通る児島・坂出ルート、しまなみ海道として知られる尾道・今治ルート)の西端に位置する。
今治市と尾道市の間にある島々を10本の橋で結び、島民の生活道路としての役割が強いことから、高速道路であるが歩行者や自転車が通行できる側道や専用通路が設けられていることが他の2ルートにはない特徴。
1979年から順次開通となり2006年の生口島道路の開通により西瀬戸自動車道が全通。しまなみ海道の愛称で本州と四国が1本でつながったという報道は記憶に新しいところ。
路線延長59・4㌔と、自動車で直行しても1時間余りの区間。瀬戸の島々を眺めながらのドライブは退屈を感じさせず、むしろリフレッシュさせてくれる。
昨今は、サイクリングルートとして人気が高く、スマートフォンのアプリを利用し、チェックポイントで電子スタンプを集め完走を目指すイベントが企画されるなど、全国の自転車愛好家が多く訪れるようになった。乗り捨て可能なレンタサイクルのターミナルが10カ所以上整備されるなど、観光客も気軽に楽しめる。
魅力的な景観をアピールしそれを体感してもらう体験型(着地型)の観光資源がここにある。
(次田尚弘/今治市)