地域に根差して3度目 ナルデン経産省表彰
和歌山県和歌山市西浜の電器店㈲ナルデン(成瀨静夫代表取締役)が、経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰」で銀賞にあたる「技術総括・保安審議官賞」を受賞した。2010年、13年に次ぐ3度目の表彰。地域に根差した「まちの電器屋」として取り組んできたきめ細やかなサービスを生かし、介護や地域コミュニティー事業に業務を広げた「お客さま目線」の経営姿勢が評価された。
1971年創業。家電の販売や設置、修理などを手掛け、安全安心な製品を届けるだけでなく、購入後の丁寧なフォローを心掛けてきた。 介護・福祉用品の販売やレンタル、住宅改修などを行う「介護部門」を新設したのは2000年。ひいきにしてくれる客や地域の住民が高齢化していくのを見て、「恩返ししたい」と考えたからだ。
「メーカーが安全な商品を作っても、ユーザーが正しく使えなければ意味がない」と店長の成瀨裕之さん(45)。客の家を訪問し、困り事を聞いてニーズを探る。生活環境や年齢、使用場所などを見てふさわしい商品をアドバイスしたり、取り扱い方法を説明したりする。「電器店の仕事と介護事業には共通点が多い」ことに気が付いた。
介護部門はさらに発展し、今では店で料理教室や健康体操教室、ミニコンサートなどを開き地域住民が集う。成瀨さんが思い描くのは、子ども時代の遊び場だった両親の店。近所の人が気軽に立ち寄り、大きなカウンターを囲んでお茶を飲みながらにぎやかにおしゃべりする光景は、まさに「地域コミュニティーの中心」だった。そんな店が理想だ。
ネット販売や大型量販店との競争で、個人経営の電器店を取り巻く状況は厳しい。だが、「消費者に一番近い場所で目線を合わせて商売できるのがうちの強み。『何でもナルデンに電話すれば大丈夫』と頼っていただけたら」と胸を張る。少子高齢化時代を迎え、地域の絆が薄れがちな今、「まちの電器屋」だからこそできることがある。