子どもの国際支援学ぶ 世界民族祭が10周年

 芸術、音楽、舞踊、食などを通して異文化や世代間の交流を図る「世界民族祭2018」が15日、和歌山県紀美野町神野市場の文化センターで開かれた。10周年を迎えた今回は、世界各地で子どもの支援活動を行う人を招き、講演会やコンサートを企画。約250人が来場し、熱意にあふれる活動報告や歌声に耳を傾けた。

 開会式で森谷泰文実行委員長は、10周年の節目にあたり、例年の祭典の形を変え、内戦や貧困をはじめさまざまな困難の中で暮らす世界の子どもたちの現状を知る機会にしようと企画を考えたことを説明した。

 寺本光嘉町長は「国境のない芸術の祭りが世界中に発信されることを通じて、この町を多くの人に知っていただけて感謝している」と祝辞。地元選出の石田真敏総務大臣も駆け付け、「政府は、これからの社会は地域の特色が重要視されると考えている。世界民族祭は他に類のない企画であり、持続可能な社会(SDGs)の形成にも寄与するものではないか。県全体の発展につなげてほしい」と期待を寄せた。

 第1部は「地球のステージ」。精神科医、診療内科医で、国際医療支援活動などに尽力する、NPO法人地球のステージ代表理事の桑山紀彦さんが、パレスチナや東ティモールでの活動の様子や思いを講演。内戦で国を追われた人々に、粘土や針金を使ったアートでこれまでの自分を表現してもらい、心の痛手を緩和する支援を続けており、活動状況を写真などで紹介しながら、自ら手掛けた歌や音楽を披露した。

 第2部は歌手のMINEHAHA(ミネハハ)さんのスペシャルコンサート。3000曲を超えるCMソングをはじめ歌謡界で確かな地位を築きながらも、商業音楽ではなく、一人ひとりの心に届ける歌を目指すことを決意し、プロダクションにはあえて所属せず、コンサート活動を続けている。この日も、命の尊さを歌い上げる圧倒的な歌唱力で会場を魅了した。

 会場ロビーでは、「世界民族祭」10年間の開催内容を紹介する展示コーナーも設けられ、来場者が見入っていた。

国際医療支援活動を報告する桑山さん(写真左)、10年間の歩みを紹介する展示コーナー

国際医療支援活動を報告する桑山さん(写真左)、10年間の歩みを紹介する展示コーナー