味わい深い赤と黒 根来寺根来塗の作品展
根来寺根来塗の宗家・池ノ上曙山さん(58)と直弟子の展覧会「蓮弁の興趣―曙山と直弟子たち―」が和歌山県和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店5階画廊で8日まで開かれている。
根来塗は豊臣秀吉の根来攻めで生産が途絶えていたが、根来塗研究の第一人者である河田貞さんに師事した曙山さんが2000年に根来寺の許可を受けて宗家になり、初代根来寺根来塗師として400年ぶりに、中世の技法とともに失われていた漆器を再興した。
展示会の「蓮弁」とは、ハスの花弁。曙山さんを中心に長男の和慶さん、レクサス・ニュー匠プロジェクトに選ばれた松江那津子さんの作品を展示。蓮弁の形に彫った「蓮弁皿」をはじめとする彫根来やクルミの殻を足にして皿を持ち上げやすくした胡桃足の漆器、高台が付いており、上に重ねて片付けられる椿皿など約600点が並ぶ。
根来塗は熱に強くて割れにくく、剥離が少ない。使うほどに上塗りの朱色が落ちて下地の黒が模様を作り趣が増す。味わい深さを知ってもらおうと、会場には神戸市の天ぷら屋で19年使われている器も展示している。
曙山さんは「400年前の根来塗がきれいな状態で発見されることもある。一生普段使いできる漆器があることを知ってもらいたい」と話している。
午前10時から午後7時(最終日は午後5時)まで。問い合わせは同所(℡073・433・1122)。