オーガニック食を追求 中西さん市駅前出店
南海和歌山市駅前に、昨年秋にオープンした、コールドプレスジュースとオーガニックカレーの店「Seneca(セネカ)」。提供するのは無添加、無農薬、オーガニック(有機)食材を使った料理や飲み物。健康を支える食の大切さを身をもって知ったというオーナーの中西美喜さん(51)は「体に良いものを食べて、『自分を大事にしよう』と思う、そんなきっかけづくりになれば」と願っている。
同市生まれで、20代の頃はアパレルや雑貨、宝飾関係の仕事に携わった中西さん。世界のさまざまな国へ出掛け、商品の買い付けをするなど多忙な日々を送り、30代には、ぶらくり丁周辺で雑貨カフェを経営。趣味を充実させるべく一念発起し、40歳で、当初から憧れのあった米国ニューヨークへ渡った。
語学学校に通いながら、大好きなジャズのボイストレーニングを受けるなど、充実した日々を送る中で、転機が訪れる。45歳の時に子宮がんが見つかり、すぐに帰国。以来、健康や食について徹底的に調べるようになり、さまざまな食事法を実践した。「オーガニック料理ソムリエ」「ナチュラルフードコーディネーター」の資格を取得。ヨガや呼吸法も学んだ。
ニューヨークで生活していた頃、飲食店を開きたいとの思いもあった。体調が戻ってからは、いつしか「健康食を取り入れて、ここまで元気になった。食や健康の大切さを多くの人に伝えたい」と夢が膨らみ、開業を決意。「第3回ビジネスプランコンテスト」(創業支援セミナーinわかやま主催)に応募し、女性活躍賞に選ばれ、支援を受けて店をオープンさせた。
「和歌山の皆さんの食や健康への意識を高めたい。健康で幸せな人生を送るための、ちょっとしたお手伝いができればうれしい」とにっこり。
同店で使う9割以上の食材がオーガニック、無農薬、無添加。天然塩や米油を使い、ドレッシングも手作り。白砂糖は使わないという徹底ぶり。
コールドプレスジュースは、健康志向の高いニューヨークでも人気の、野菜や果物を圧搾して作るる飲み物。日本でも各地に専門店が増えている。専用のジューサーで低速回転させて抽出するため、熱で失われやすいビタミンや酵素などの栄養素を破壊することがない。また、水を加えないので少量で多くの栄養素を取り入れることができ、美容や健康に効果があるとされている。
価格は890円~と高めだが、300㏄のジュースに、約1㌔の野菜や果物を使用。一つひとつ手動で時間をかけて搾る上、無農薬となるとどうしても高くなってしまう。最近は、食事代わりに飲料で栄養をとる「ジュースクレンズ」をする人も増えているという。
店名は、ある格言を残した古代ローマの哲学者・セネカにちなんでつけた。彼の言葉に「日ごと、別個の生とみなすべし」とある。「一日一日を大事に」との教えだが、そこに、中西さんならではの「一食は一生につながる、その一食を大切に生きる」との思いを重ねた。
「体に良いものを食べて元気になってもらいたい。いたってシンプルなんです」
思い描く夢はたくさんあり、今後は、オーガニックに関する食のワークショップなども開いていきたいという。
火曜日定休。午前11時半から午後7時半まで。問い合わせは同店(℡080・4245・0033)。