生徒の科学研究の成果 海南高SSH発表会

文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けている和歌山県立海南高校(海南市大野中、湯川昌彦校長)は5日、市民交流センター(下津町下津)で成果発表会を開いた。生徒による課題研究の発表や、同校卒業生でマグロの養殖を成功させた近畿大学水産研究所の澤田好史教授の講演があり、1・2年生や小中高校の教員、地域企業の関係者ら約400人が熱心に耳を傾けた。

SSHは、高校で科学技術や理科、数学を重点的に学べるよう国の予算が配分され、科学技術の開発力や共創力を備えた人材育成を目指す事業で、2002年に開始。同校は04年から指定を受けており、現在は第4期の2年目にあたる。

ホール入り口前でポスターセッションが行われ、人の音声の分析、人工衛星の画像解析、人工知能に関する研究や生物の調査など14のテーマが並んだ。このうち5件はホールの壇上で発表があり、データを示し、寸劇を交えるなど工夫されたプレゼンテーションに、会場からは活発な質問も飛んだ。

教養理学科1年の宗尚輝君はポスターセッションで、4年にわたり研究が続けられ、日本学生科学賞の中央審査二等入賞などの評価を得ている「アオバズクは何してる?」の成果をクラスメイトに解説。井原聡志君、坂口仁啓君、中原翼君は「アオバズクがかわいくて仕方ないとの思いが研究から伝わります」「好きなテーマだからこそ掘り下げられるのだと思います」「経年の同日、同時刻の観察でも、明るさの違いを示すなどして研究に深みをもたせるテクニックがうまいと思います」などと話していた。

澤田教授は「クロマグロ完全養殖―大学で魚を育て人を育てる―」と題して特別講演。世界の人口の増加予想に比べ、自然界の漁獲量は減少していることを示し、「世界情勢では食糧生産の分野に注目が集まっており、水産業では漁業と養殖の両立がテーマだ」と解説。今後は持続可能な食糧生産体制を築くことが大切とし、「皆さんの若い力にかかっている」と呼び掛けた。

ポスターセッションで説明する宗君(中央)

ポスターセッションで説明する宗君(中央)