新種のアナエビの化石 自然博物館で展示中

 県立自然博物館(海南市船尾)が所蔵する甲殻類の化石3点が、アナエビ科に属する新属新種であることが分かった。同館と岐阜県の瑞浪市化石博物館が共同研究し、ヒネエビ属ヒネエビと命名。国内では3例目の貴重なアナエビ科の化石で、県立自然博物館で5月12日まで展示されている。

 化石はそれぞれ、アナエビの頭や体の一部分で約4㌢あり、推定年代は約7000万年前の中生代白亜紀後期。アマチュアの化石収集家、田原敬夫さん(大阪府)が1980年に和泉山脈から2点、田中省吾さん(兵庫県)が2000年代に淡路島から1点を発見した。
 2人と交流のある同館の小原正顕学芸員が、16年から18年にかけて標本の寄贈を依頼して研究を進め、ことし3月、「瑞浪市化石博物館研究報告第45号」で新種として発表した。 

 小原学芸員によると、甲殻類の化石は発見自体が少なく、アナエビ科の化石は国内では3例目、海外を含めると40種ほどの報告があり、最古は1億5000万年前のものという。そのため、今回の発見はアナエビ類の系統を探る重要な発見と考えられている。

 展示は、化石とともに、アナエビのどの部位に当たるかが図で示され、化石と同じアナエビ科のツノナガスジャコが飼育展示されている。

 小原学芸員は「一見地味にも見える小さな化石に、生物の進化に関する貴重な資料が隠れているかもしれない。子どもさんが大発見をする可能性も十分あるので、化石採集にますます興味を持ってもらえたら」と話し、多くの来場を呼び掛けている。

 問い合わせは同館(℡073・483・1777)。

エビの頭に見られる筋が残った化石

エビの頭に見られる筋が残った化石