少年野球あるべき姿 髙嶋仁さんら意見交換
少年野球の指導法やけがの予防などについて考えるシンポジウムが15日、和歌山県和歌山市手平の和歌山ビッグ愛大ホールで開かれ、智弁和歌山高前監督の髙嶋仁さんや箕島高出身の元プロ野球投手・木村竹志さん、理学療法士の鳥居久展さんらがそれぞれの現場で取り組んできたことを報告し合った。
県高校野球連盟と㈱朝日新聞社和歌山総局が主催。県高野連の愛須貴志会長はあいさつで県内高校野球部の新入部員数にふれ、「昨年や一昨年に比べて減っており、紀南は1桁の学校も多い。どうすれば高校野球が続いていくか考えないといけない」と危機感をあらわにした。
シンポジウムは高校野球の監督として甲子園通算68勝の最多記録を持つ髙嶋さんの講演からスタート。少年野球の指導に見られる問題点として、指導者が基本的な技術を教えられる人とそうでない人に二極化していると指摘。「肩の関節を使わずに投げる子が多く、高校に入ってもライナーで遠くに投げられない。指導者自身が野球の技術を学ぶ必要がある」と強調した。
1979年の甲子園で箕島高の春夏連覇に貢献した木村さんは、幼少期にさまざまなスポーツを経験することが野球の技術向上につながるとし、「特に水泳をしている子は肩の関節が柔らかく、速い球が投げられ、けがもしにくい」と話した。
高校野球で投手の故障を防ぐために投球数を制限しようとする動きがある中、理学療法士で角谷整形外科病院リハビリテーション科副科長の鳥居さんは、少年野球選手を肘の故障から守るために和歌山市内の子どもたちを対象に肘の検診を実施していることを報告。「初期の段階では症状が出ないため気付きにくい。初期なら修復の可能性がかなり高いので積極的に受診してほしい」と呼び掛けた。週末に同じ練習を繰り返し一日約12時間の練習を課すチームがあることを紹介し、「投げることだけでなく、全体の練習量も見つめ直すべきでは。運動と休養、栄養のバランスが大切」と訴えた。
髙嶋さんは投手の負担軽減を強く意識してきたとし、「キャッチボールの球数も含め一日の投球数が120球を超えないように努めてきた。少なくとも5、6人の投手をそろえている。指導者の考え方次第ではないか」と話した。
選手の体づくりに与える食事の影響もテーマとなり、公認スポーツ栄養士で管理栄養士の村上知子さんは選手の中に体重が増えやすいとの懸念から米をあまり食べない選手がいると報告。「米は炭水化物がすごく多いイメージを持たれているが、たんぱく質やビタミンなど多くの栄養素が入っている。極端な食べ方は栄養のアンバランスを招きやすい」と話した。