4人と1団体に 和歌山市文化表彰決まる
和歌山県和歌山市の文化向上、発展に功績のある個人・団体に贈られる2019年度市文化表彰の受賞者が決まった。「文化賞」に合唱指揮者の杉原治(いさお)さん(85)、「文化功労賞」に日本文学研究者の永廣禎夫さん(82)、市出身で津軽三味線奏者の木乃下真市(本名=木下伸市)さん(54)=埼玉県=、「文化奨励賞」に市出身で映画プロデューサーの前田和紀さん(54)、玉津島保存会(渋谷高秀会長)の4人と1団体が選ばれた。
杉原さんは、県立高校の音楽科教諭として、桐蔭高では生徒ら総勢300人の大合唱とオーケストラの共演を実現。1960年から和歌山市民合唱団の指揮者となり、現在は名誉指揮者を務める。和歌山刑務所では篤志面接委員の委嘱を受け、女声合唱団を指導するなど、音楽教育、文化の向上に大きく貢献している。
永廣さんは、公立高校長を退職後、奈良文化女子短大、奈良産業大の教授を歴任し、現在は燦短歌研究会代表。同会のイベントや著書を通して、万葉の歴史を学ぶ機会を広く一般に提供している。
木乃下さんは、津軽三味線奏者として30年以上、多様な分野の音楽家との共演や、ロンドン、上海をはじめ海外公演などを展開。「木乃下三弦会」の家元として後進の育成にも取り組んでいる。
前田さんは、市内で撮影された「ちょき」(16年)や、太地町が舞台の「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。」(18年)などを手掛け、和歌山の美しい風景や温かさを全国に発信した。
玉津島保存会は、名勝・和歌の浦の自然や歴史、文化を守り、活用と保全を図る活動を展開。定期的な清掃の他、観月会や竹燈夜などのイベントを開催し、魅力発信、地域活性に貢献している。
市文化表彰は82年度から実施し、38回目。受賞者は今回を含めて138人、27団体となった。
受賞者には表彰状と徽章(団体には盾)、副賞が贈られる。表彰式は20日、和歌の浦アート・キューブで行われる。