「水戸学」に触れる
前号では、徳川光圀が講談や歌舞伎、テレビドラマの主人公「水戸黄門」として描かれた背景について、修史事業を目的に作られた「彰学考」の史館員の活躍と共に取り上げた。
光圀の修史事業を通し代々受け継がれた学問は「水戸学」といわれ、藩政に限らず幕政にまで影響を与えた。水戸市は明治維新150周年を記念し、水戸城跡周辺地区の道路を「水戸学の道」として整備。今週は、道路整備を通じた地域と観光振興の取り組みを紹介したい。
水戸学の道は2018年1月、水戸城周辺地区の新たな道路に付けられた愛称名。道路は赤褐色にペイントされ、両側に広い歩道を設置し電線等を地中化。二の丸付近では新たに造られた白壁塀が城下の面影を感じさせてくれる。
整備が進む水戸城周辺を観光で訪れる人に限らず、地域の魅力の再発見を後押しする取り組みとして、水戸市や観光協会、商工会議所やJRで構成する協議会が散策マップを整備。
光圀の足跡として杉山門や大手門を辿る「光圀ルート」に加え、水戸藩9代藩主で尊王攘夷論を示し、水戸では偕楽園や弘道館を整備した徳川斉昭(なりあき)に関する「斉昭ルート」、15代将軍で知られ大政奉還を行った徳川慶喜に関する「慶喜(将軍)ルート」の3ルートを設定。
いずれも、前号で紹介の「水戸黄門助さん格さん像(水戸駅前)」を起点とする、2㌔~3・3㌔、約1~2時間で周遊できるコース。
後に、明治維新や近代の日本の形成につながる水戸学に触れられる、学びと観光の道。ぜひ訪れてみては。
(次田尚弘/水戸市)