わんだーらんどが活動紹介 未来未来を議論
2006年にノーベル平和賞を受けたムハマド・ユヌスさんと、関西の中小企業が地域社会について語り合う「未来社会×ソーシャルビジネス」が22日、大阪市中央区のエル・シアター大阪府立労働センターで開かれた。吉本興業が主催。貧困の撲滅に向けた活動で知られるユヌスさんが基調講演した他、和歌山県住みます芸人のわんだーらんどが日高川町で行っている耕作放棄地再生の活動を紹介し、約800人が聴き入った。
吉本興業は、「ソーシャルビジネス」を提唱したユヌスさんに賛同。昨年3月に、合弁会社「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」を設立した。以後、全国47都道府県に移住し活動する「全国住みます芸人」が、地域の課題を解決するためのプランをビジネスに結び付けようと活動を展開してきた。
ユヌスさんはバングラデシュ生まれ。同国の農村部で貧困に苦しむ人らを支援しようと、無担保少額融資(マイクロクレジット)を行うグラミン銀行を創設。貧困の軽減と平和構築への功績が評価され、ノーベル平和賞を受けている。
講演でユヌスさんは世界の現状について、自然環境の破壊や経済的格差の拡大、人工知能(AI)などの技術革新の進展による雇用の減少が進んでいると指摘。「富はあふれているが、上位の層に富がとどまり、中間層や下位層にはわずかしか流れていない」「欧州を中心に若者の失業率は高く、すでに雇用で人をAIに置き換える動きもある。今後ますます失業者が増える可能性がある」と強調し、「このまま進めば暗い将来が待っている。これからの社会をどうするかよく考えないといけない」と話した。
講演に続いてパネルディスカッションがあり、芸人で絵本作家の西野亮廣さん、教育やビジネスの分野で活躍中の坪田信貴さんらが参加。県住みます芸人のわんだーらんども登場し、たにさかさんとまことフィッシングさんの2人は日高川町で耕作放棄地が拡大していることを説明。「放棄地でもミカンはなるが、イノシシに食べられたり、害虫の被害に遭ったりする」とし、農地の保全に取り組みながら新規就農者を募集していることを紹介した。
パネリストの1人で㈱オフィス内田会長の内田勝規さんはわんだーらんどの発表を聴き、「荒廃地はこれからもっと増えると思う。ミカン本体を(今より)高く売るのは難しいと思うが、ミカンの皮や葉を活用することで付加価値を付けてみてはどうか」と話していた。