海南市庁舎が最優秀 第4回きのくに建築賞

 和歌山の建築文化の向上を目指す「第4回きのくに建築賞」の受賞作品が発表され、最優秀賞に、海南市庁舎が選ばれた。既存の建物を生かすなど時代に即し、市民の誇りとなる建物であると高く評価された。

 県建築士会などでつくる建築三団体まちづくり協議会(谷岡拓会長)が主催。同賞は、建築物とそれに携わった人の思いに光を当て、和歌山の優れた建造物を次世代に残そうと2016年に創設。今回は県内から22件の応募があった。

 審査員は建築士ら4人が務め、書類選考された5件を2日間にわたる現地審査と会場のプレゼンテーションで審査。会場の支持を集めた作品には、きのくに県民賞が贈られた。

 最優秀に選ばれた海南市庁舎は㈱日建設計(東京都)の白成龍さん、村井健治さんが設計。施工は㈱イチケン(東京都)。庁舎は2017年7月に完成。鉄筋コンクリート造りで、5階建ての既存改修棟と2階建ての増築棟から成り、高い耐震性を備えている。

 既存の建築物を生かし増築して完成させた庁舎について審査員からは「施設の再利用が求められている現代にマッチし、市民の誇りになるようなスマートな建物」などの声があった。

 審査した大阪市立大学工学研究科の倉方俊輔准教授は「現地調査で空間的な魅力を発見した。このコンテストが建築に関わる全ての人の糧になれば」と話していた。

 同協議会事務局の島桐子さん(60)は「一人でも多くの人に建築に興味を持ってもらいたいとの一心で、手弁当で行っています。応募作品が増えればうれしい」と話した。

 審査結果は次の通り(順に作品名、建築主、設計者、施工者)。

 【最優秀・県知事賞】海南市庁舎、海南市、㈱日建設計(白成龍、村井健治)、㈱イチケン【優秀賞・きのくに県民賞】nicorire、㈱ル・リール、福田哲也建築設計事務所、㈱松原建設工業【佳作】冬野の平屋、個人、nha(西本寛史)、前畑建材店▽山荘天の里、和島興産㈱、㈱アーキヴィジョン広谷スタジオ(広谷純弘)、㈱淺川組【審査員特別賞】東京大学生産技術研究所川添研究室加太分室地域ラボ及びSERENO、加太まちづくり㈱、空間構想一級建築士事務所川添善行、森田鉄建㈱【第4回きのくに建築賞紀州材賞】岬の家、個人、ナカヒラアーキテクツ中平勝、㈱清水工務店

最優秀賞に選ばれた海南市庁舎