漆塗りの校歌を寄贈 組合青年部が黒江小に

和歌山県海南市の紀州漆器協同組合青年部(堺昭憲部長)は、同市立黒江小学校の校歌を記した漆塗りの板を制作し、20日に同校に寄贈。保護のためのアクリル製の覆いとともに体育館に掲げた。

市の委託事業で、伝統技術の次世代継承を目指し、年間に数点制作するジャンボ漆器の一環。縦1㍍60㌢、横2㍍60㌢の黒い漆塗りの板に、金色の蒔絵(まきえ)で校歌が記されている。昨年の亀川中学校に続き2例目。

青年部の部員15人が7月から10月まで毎週1度集まって制作した。校歌はナイロンなどの合成繊維の布に、専用の液体で文字を書き、光を当てて繊維を溶かすという科学的な方法による版に、へらで塗料を薄くのばして文字を刷るシルクスクリーン技法を用いた。さらに文字に蒔絵が施され、黒の漆が吹き付けられた板に金色の文字が美しく輝いている。

設置には部員の山本真士さん(34)、山家優一さん(32)が立ち会い、堺部長は「最高の出来栄えに仕上がった。子どもたちが『すごい、塗ってみたい』と漆器に好奇心を持ってくれ、後継者の育成にもつながったらうれしい」と話していた。

同校の沼田香恵教頭は「本物の漆器にふれる機会の少なくなった児童が、学校生活で常に地元の伝統と産業を目にすることができるので、とてもありがたいです」と話していた。

寄贈された漆の校歌と(左から)堺部長、山本さん、山家さん