水戸市民の憩いの場「千波湖」
前号では、8代将軍・吉宗の四男・宗尹(むねただ)を祖とする「一橋家」からの寄贈品を収蔵する、茨城県立歴史館を取り上げた。今週は、15代将軍・慶喜(よしのぶ)とその父である斉昭(なりあき)の像が建ち、水戸市民の憩いの場として知られる千波湖(せんばこ)を紹介したい。
千波湖は偕楽園や常盤神社の南側にある湖。湖といえど水深が1㍍程度と浅く、周囲は約3㌔。近隣に県立近代美術館や県民文化センターなどの公共施設があり、千波公園を形成する。千波公園と偕楽園などの周辺エリアの総称を偕楽園公園とし、都市公園としてセントラルパーク(ニューヨーク)に次ぐ世界で2番目の広さを誇ることは前述の通り。
水戸市政120周年を記念し、偕楽園に近い湖の西側エリアを黄門像広場として整備。光圀(みつくに)像や斉昭・慶喜像などの銅像が建つ他、案内所や飲食店、売店が入るガラス張りのデザインが特徴の「好文cafe」や、湖に張り出す形で設けられた、幅約30㍍、奥行約10㍍の木製デッキ(親水デッキ)、水質浄化を目的に造られ夜は幻想的なライトアップがされる大型の噴水設備があり、観光客のみならず市民の憩いの場としてにぎわう。
水鳥の生息地としても知られ、コブハクチョウなどが飼育されている。斉昭を蟄居(ちっきょ)に追い込んだ安政の大獄や、水戸藩からの脱藩者による桜田門外の変など、水戸と彦根はわだかまりがあるといわれてきたことから、昭和43年(明治元年から100年)、両市は親善都市の盟約を結び、それを契機に友好のしるしとして彦根市から贈られたもの。
深い歴史を超え、憩いの場として世界に誇る公園がここにある。
(次田尚弘/水戸市)