「梅」への思い、茨城と和歌山
前号では、全国の納豆消費量から比較した、水戸と和歌山の食文化の違いを取り上げた。全ての都道府県庁所在地(市)と政令指定都市の全52カ所を対象とした家計調査(2017年~2019年の平均値)で最下位を記録している和歌山市の納豆消費金額。では、和歌山市がトップである食品は何か調べてみた。
答えは「梅干し」。和歌山市の消費金額は2906円で第1位。第2位のさいたま市に600円以上の差をつけ、全国平均の1462円と比べると平均値の約2倍。水戸市は第34位の1310円と意外な結果だった。
一方で消費量も、和歌山市が1183㌘で第1位。第2位が青森市(1064㌘)、第3位がさいたま市(1021㌘)、第4位が水戸市(906㌘)で、全国平均は730㌘という結果。消費金額、消費量共に第1位となった和歌山市と比べ、水戸市をみると消費金額は平均値以下だが消費量はトップクラスというアンバランスな結果に至った。
ここに見える和歌山市と水戸市の違いは何か。それは、梅干し自体の単価にあると考えられる。和歌山県内で流通する梅干しは南高梅が多く、果実が大きく種が小さい特徴から果肉が多く、味、見栄え共に優れ高値が付く。食する量に大差は無くとも、1粒あたりの大きさと価格が消費金額を押し上げており、これは和歌山県民の梅に対する価値の理解度の高さといえそうだ。
とはいえ、消費量では和歌山市同じくトップクラスの水戸市。梅干し好きは共通事項である。「梅」でつながる茨城探訪。そこには両県の梅に対する格別な思いが詰まっていた。
(次田尚弘/水戸市)