「ずっと待ってた」 百貨店など営業再開
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除された和歌山県内で、18日には百貨店や大型ショッピングモールなどが感染防止対策を講じた上で全館の営業を再開させた。買い物客からは「ずっと待っていた」という喜びの一方、「まだ怖さもある」との声が聞かれ、感染拡大の不安を残しながらも、徐々に日常を取り戻そうという動きが出ている。
和歌山市友田町の近鉄百貨店和歌山店では、地下1階の食料品売り場を除いて休業していたが、18日午前10時に1~5階を含む全館の営業を再開した。
同店の坊賢一販売推進課長が「お客さまに安心して買い物をしてもらえるように、さまざまな対策をとってお迎えしたい」と話すように、感染拡大防止対策として、従業員はレジなどでは飛沫(ひまつ)を防ぐ透明のシート越しに接客し、レジの前には間隔を空けて並んでもらうための目印をつけた。さらに、店内にはマスクの着用や手指の消毒、最小限の人数での来店などの注意、お願いを呼び掛ける張り紙などを掲示した。
開店前から入り口には再開を待ちわびていた客が並び、開店すると次々と店に入っていき、久し振りの買い物を楽しんだ。出迎えた従業員に「和歌山にはここしか百貨店がない。頑張って」などと励ましの声を掛ける人もいた。
スマートフォンで営業再開の日をチェックしていたという和歌山市西庄の女性(78)は「娘が母の日にくれたお金を、開店するまで持っていました。近鉄の物は質がいいので、ここで買い物をすれば娘の優しい気持ちもずっと持っていられる気がします。店員さんの接客もしっかりしていて、良い買い物ができました」と話していた。
営業時間は午前10時~午後6時までに短縮し、一部の売場やテナントでは休業や営業時間の変更があるため、ホームページなどで確認するよう呼び掛けている。
4月18日から営業を休止していたイオンモール和歌山(和歌山市中)の専門店街は1カ月ぶりに営業を再開。
同店は新型コロナウイルス感染を予防する取り組みを強化。従業員の体調管理として入館時には検温を実施している。
全ての出入り口に手指消毒溶液を設置。また出入り口は対面通行にして来店者間の接触を減らしている。館内には簡易体温計測器や換気を促進するサーキュレーターを設置。エレベーターやエスカレーターでは距離感を保つため、テープで停止位置を示し密接しないように工夫を施す。
館内のイスも対面しないように方向をそろえる。フードコート内の席数も減らし、各店が飛沫(ひまつ)防止シートとマスク着用を徹底して感染予防に努めている。また子どもの遊び場も閉鎖し、感染リスクを抑えている。
訪れた市内の30代女性は「まだまだ怖いが日常が少し戻った感じ。再開されてうれしい」と話した。
同店の石見桂二郎ゼネラルマネージャーは「安全への取り組みを通して少しでも安心を感じてもらえるように取り組んでいる。お客さまに愛されるショッピングセンターであり続けられるように努めたい」と話した。