物事の見方変わるかも? 近代美術館で企画展
和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上)で8月30日まで、企画展「あまたの先日ひしめいて今日」が開かれている。ことしで10回目を迎える「なつやすみの美術館」シリーズで、同市出身の新鋭画家・田中秀介さん(34)をゲストに迎え、田中さんの作品と同館の所蔵品計89点展示。全てに田中さんの作品解説が添えられ、少し違った角度から物事を見ることの面白さや、作品との新たな向き合い方を提案している。
展覧会は「距離感」がキーワード。
「ものの見方の距離感によって、ものの捉え方が変わってくるのではないか」という田中さんの仮説のもと、「ものを見る」とはどういうことかについて、田中さんの言葉を手掛かりに鑑賞できる。
会場では保田龍門の「自画像」、石垣栄太郎の「挙闘」など地元なじみの絵画や、イサム・ノグチの彫刻、横尾忠則の版画などを紹介している。
意表を突くような田中さんの独特なコメントにも注目。ある前衛的な陶芸作品には「八百屋とか魚屋の看板としてこれが置かれていたならば、私はそこで買わない」とユニークな感性で紹介している。
同館の奥村泰彦・教育普及課長は「一般的な美術批評とは違う軸で、作品にひっかかりを持ってもらえれば。田中さんの言葉を通すことで『ものを見る』ということや、楽しみ方の
幅が広がるのでは」と期待。田中さんは「何が描かれているか、どういうふうに作られているかよりも、人がその作品をつくったという事実に驚いてもらいたい。人の豊かさを感じてもらえれば」と話している。
一般520円。高校生以下や65歳以上などは無料。午前9時半から午後5時(入場は4時半)まで。月曜休館(8月10日は開館し、11日休館)。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。