ふるさとに恩返し アーチェリー倉矢さん
昨年オランダで行われた「世界アーチェリー選手権大会」で好成績を上げた和歌山県紀の川市貴志川町出身の倉矢知明さん(23)が、6月から母校の県立貴志川高校で後輩たちの指導にあたっている。倉矢さんは「生まれ育ったまちに恩返しができるように、自分が持っているものを伝えていきたい」と話している。
倉矢さんは同校への入学を機にアーチェリーを始め、2年の時に出場した東京国体の団体戦で優勝。頭角を現し3年生でジュニアナショナルチームのメンバーに選出された。近畿大学に進学し3回生の頃ナショナルチームのメンバーに。卒業後はアジア大会、世界選手権など数々の大会に出て経験を積んだ。期待されて臨んだ東京オリンピック2020の選考会では惜しくも出場権を逃し、悩む日々を過ごした。
同校から「アーチェリー部を指導してほしい」との声が掛かり、「お世話になった母校に恩返しを」と同市へ戻ることを決断した。部員は1、2年生の5人。技術や精神面だけでなく、あいさつや礼儀もしっかりと伝える。
指導の後はプレーヤーとして力を発揮できるよう1時間半、自主練習。指導能力と技術の向上を図る。
生徒からの信頼も厚く、主将で2年の田渕良奈さん(16)は「倉矢さんの指導は説得力があり理解がしやすいのでうれしい。インターハイに出て上位を狙いたい」と意気込む。
選手によってスタイルが違うため、伝え方が難しいという倉矢さん。「指導を通じて、改めてアーチェリーの面白さや教えることの楽しさを感じている。生徒には人としても大きくなってもらえれば」と話している。