公共交通利用を 野澤近畿運輸局長が呼び掛け
国土交通省近畿運輸局の野澤和行局長(56)が25日、和歌山県和歌山市福町の和歌山新報社を訪れ、新型コロナウイルスの影響で深刻な影響が続く県内の公共交通や観光業などの回復に向け、県民に利用を呼び掛けた。
新型コロナによる県内公共交通事業者への影響をみると、5月の営業収入は、乗り合いバス事業者が前年度比約80%減、貸し切りバス事業者は100%減、タクシー業者は61・1%減、海運事業者は50~70%の減。
政府の緊急事態宣言解除後の6月は、乗り合いバス事業者が60%減、タクシー事業者が29・6%減まで回復したが、貸し切りバスはほぼ変わらず99%減、海運事業者も50~70%減のままだった。
野澤局長は本紙・津村周社長のインタビューに対し、「7月は回復が期待されていたが、感染状況がまた悪化し、停滞感がある状況になっている」と厳しい現状認識を示した。
その上で、交通・観光事業者らが感染拡大防止対策に取り組み、行政も国民の不安払拭(ふっしょく)に努めていることを話し、旅行代金が割引となる国の「GoToトラベルキャンペーン」や県の「わかやまリフレッシュプラン」の活用を呼び掛けた。
白浜町などでは海水浴シーズンのにぎわいが戻ってきたものの、移動手段の多くがマイカーであることから、「県民には県内のバス、タクシー、鉄道など公共交通を使ってもらいたい。事業者が(破綻し)なくなってしまうと、県内の移動がマイカーばかりになってしまい、長い目で見るといろいろと不都合な面が出てくる」と話し、県民生活の将来のためにも、県内の産業を県民の利用で盛り上げていくことの重要性を強調した。
野澤和行氏 長野県出身。一橋大学法学部を卒業し、旧運輸省に入省。海上保安庁交通部企画課長、運輸安全委員会事務局総務課長、独立行政法人自動車事故対策機構理事などを歴任し、2020年4月から現職。