地元作家の漆器作品を展示 NPOくろえ
地域の伝統産業である漆工芸を地元の人々に見てもらおうと、海南市美術家協会会員の漆芸家・林克彦さん(58)の作品が、同市黒江の紀陽銀行海南支店で展示されている。11月中旬まで。
地域活性化に取り組むNPO法人くろえ(小阪享理事長)が3年前から行っている取り組み。会員らが協力し、店舗のショーウインドーに漆額と器の作品を飾り付けた。
黒江地区は、400年以上の歴史を持つ紀州漆器「黒江塗」の生産地として知られている。同市生まれの林さんは、京都市の日吉ヶ丘高校の美術工芸課程漆芸科を卒業後、1991年に日展で初入選し、2005年に県のきのくに技能奨励賞を受賞。07年には伝統工芸士に認定されている。
今回展示している作品は、漆額3点と汁わんや小鉢、箸などの和食器。螺鈿(らでん)装飾された漆額の作品は、艶やかな質感に美しい光沢が見事に融合している。
中でも「夜明け」と題した漆額は、串本町の橋杭岩の風景をモチーフに、初夏に訪れた際に見た光景を思い出し、約4カ月をかけて完成させた。
林さんは「地元で作っているので、作品を紹介してもらうことはとても感謝している。漆工芸の良さをもっと分かってもらえれば」と話している。