次世代へ奏でる音色 きのくに音楽祭開幕

和歌山県民参加型の本格的な音楽の祭典「きのくに音楽祭2020」が4日、和歌山市で始まった。昨年に続き2度目の開催。同日はプレイベントとして、0歳児から参加できるファミリーコンサートが西高松の県立図書館メディア・アート・ホールで行われ、親子連れらが演奏を楽しんだ。国内外の第一線で活躍する音楽家を招き、9日から11日にかけて市内の3会場で演奏会を開催。ことしも秋の和歌山を音楽で彩る。

実行委員会、県立図書館が主催。同市出身のバイオリニストで東京藝術大学学長の澤和樹さんが総監督を務める。

今回は、小さい頃から本格的なクラシック音楽にふれてもらおうと、子どもたちに向けた取り組みにも力を入れ、生誕250周年を迎えたベートーベンの名曲に光を当てて展開される。

演奏会のチケットは一部を除いて完売しているが、イオンモール和歌山や県立近代美術館・博物館前で無料公演があり、小学校やこども園への出前授業なども予定されている。

新型コロナウイルスの感染防止対策を十分に講じた上での実施。実行委によると、出演者は「お客さんの前で演奏できる」と喜びも大きいという。この日の午前の公演には20組が来場。検温や手指の消毒を実施し、客席に空間をとって行われた。

日本センチュリー交響楽団のメンバーによる弦楽カルテットと、関西二期会員が出演。ベートーベンの「トルコ行進曲」などの他、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を音楽とナレーションで紹介した。参加した親子らは、スクリーンに映し出される物語を弦楽四重奏とともに楽しんだ。

会場にはスポンジのシートがひかれ、子どもたちは寝転んだり、自由に動き回ったり。持参した音の出る楽器で合奏に参加するプログラムや、木製打楽器のウッドブロックなどで来場者が演奏に加わる場面もあった。

生後9カ月の長女と参加した市内の女性(45)は「娘は音楽に合わせて手足を動かすなど、楽しんでいるようでした。生演奏を聴くのは久しぶり。よい気分転換になりました」と笑顔だった。

同日はこの他、オーディションで選ばれた小学生から高校生までの9人が演奏を披露する「きのくに若い芽のコンサート」もあった。

県吹奏楽連盟の会長で、実行委員長を務める湯川昌彦さんは「超一流の奏者による、普段なかなか聴くことのできないクラシック音楽を、この機会にぜひお楽しみいただきたい。次の世代を担う音楽の聴衆を一人でも多く育てられれば」と話していた。

子どもたちも合奏に参加

子どもたちも合奏に参加