生涯スポーツ振興に尽力 文科省表彰

文部科学省が地域のスポーツ振興や発展に貢献した人や団体をたたえる表彰に、和歌山県内からは1人と1団体が選ばれた。「生涯スポーツ功労者」に、県ボウリング連盟会長の西田一善さん(71)=和歌山市土入=、「生涯スポーツ優良団体」に、海南市大野中のNPO法人ゆうゆうスポーツクラブ海南(津毛望理事長)が輝いた。

 

若い世代の育成へ

西田さんは印南町出身。中学、高校、大学と和歌山市内で育ち、近畿大学在学中に友人とボウリングで遊んだことをきっかけに、競技の世界へ。しかし24歳~39歳までは仕事の関係で競技から離れていた。

ボウリングが国民体育大会の正式種目になったことを受け、39歳で再開。53歳の時、東京で開かれた「第37回NHK杯争奪全日本選抜ボウリング選手権大会」で大会史上最高齢での優勝を果たした。その後も国民体育大会などで好成績を収めた。

45歳から、当時、学生の大阪府出身の女子プロボウラー板倉奈智美選手を指導。1999年、2000年の「全日本選抜ボウリング選手権大会」の連覇にも導いた。07年に県ボウリング連盟の会長に就任。小学生を対象に和歌山市、御坊市、新宮市で「夏休みボウリング教室」を開き、未来のトップアスリートの発掘・育成に励むなど競技を通じた地域貢献に尽力している。

また本格的に競技を続ける中高生のために「ジュニア教室」を企画・運営し、熱心な技術指導をして小学生から継続した育成を行う。

17年度には、全国高校対抗選手権大会で女子チームが優勝。19年の茨城国体では男女総合成績1位を獲得し、悲願の初優勝へけん引した。

ジュニアには基本である力の抜き方や球の振り子運動を指導する他、ボウリングそのものを好きになってもらうことを心掛けている。技術、メンタル、体幹を大切に選手の性格に応じた指導をして選手の力を最大限に引き出す。

今回の表彰には「ありがたい気持ち。今後も生涯現役でボウリングに関わり、ジュニアの育成に頑張りたい」と喜ぶ。

ボウリングを通じて、人間関係とともに人間的な成長を大事にしているといい「ボウリングは競り合った時のワクワク、ドキドキ感が楽しい。ジュニアの底上げをしていきたいので大募集です」と笑顔。「和歌山のボウリングがさらに強くなるように今後も頑張って指導をしていきたい」と話している。

現在も現役でボウリングを楽しむ西田さん

 

年齢問わず生き生きと

海南市内で総合型地域スポーツクラブを展開するゆうゆうスポーツクラブ海南は、2005年に準備委員会が立ち上がり、07年に設立。翌年にNPO法人となった。津毛理事長は設立当時を「チラシを作って各家庭に配った。地道な活動を続けることで徐々に地域での知名度も上がっていった」と振り返る。

現在は大野中の市総合体育館内に事務局があり、市内の体育館、テニスコートなどの公共施設で子どもや大人向けのスポーツ教室を週に50教室開いている。教室はバドミントン、ジャズダンス、卓球、空手、フットサル、体操など多彩。市総合体育館は館内のトレーニングルームが改修され、今月リニューアルオープン。広さが約1・5倍となり、新たにさまざまなトレーニングマシンも導入されるなど、さらに充実した。

津毛理事長はクラブの魅力について「1回会費を払うといろんなスポーツができ、親子で参加することもできる。初心者かどうかや年齢も関係ない」と語り、「今回の表彰は名誉なこと。思ってもいなかった。いろんな方が協力してくださって今のクラブがある。本当にうれしい」と話している。

活気あふれる教室(ゆうゆうスポーツクラブ海南提供)