いじめ解消率9割超 19年度学校課題調査

和歌山県内の公立学校で2019年度に認知されたいじめは前年度より554件多い6388件で、いじめの解消率は前年度までの2年連続全国1位からは後退したものの4位の93・3%となり、全国平均83・2%を大きく上回ったことが、22日に文部科学省が発表した調査結果で分かった。県教育委員会は、対応マニュアルの活用やいじめアンケートの実施徹底など「積極的な認知や組織的な取り組みが進み、認知件数の増加につながった」と分析している。

県内のいじめの件数は公立小学校で5723件(前年度比394件増)、公立中学校で505件(同128件増)、公立高校で134件(同16件増)、特別支援学校で26件(同16件増)。児童生徒1000人当たりの認知件数は国立・私立を含めて65・1件(全国平均46・5件)で、前年度より7・0件増えた。

いじめの主な内容は、冷やかし、からかい、悪口などが全ての校種で見られ、小中学校では軽くぶつかる、遊ぶふりをしてたたく、高校ではパソコンや携帯電話での誹謗(ひぼう)・中傷、特別支援学校では嫌なことや恥ずかしいことをさせられるなどの内容もあった。

県教委は、いじめアンケートを公立学校では100%実施し、面談を行うなど児童生徒のきめ細かい実態把握に努め、いじめの防止、早期の発見・対応につなげている他、教職員に対しては、いじめ問題対応マニュアルの内容や活用方法の研修を重ねている。

また、教育相談体制の充実に向け、スクールカウンセラーの配置を304校(前年度比13校増)に拡充。スクールソーシャルワーカーは、独自配置している和歌山市を除く29市町村、12高校(同3校増)に配置している。

不登校の児童生徒数は、公立小で294人(同32人増)、公立中で812人(同61人増)、公立高で398人(同1人増)。主な要因として「いじめを除く友人関係をめぐる問題」などが挙げられ、無気力や不安の傾向が見られる。

公立高の中途退学者は362人(同45人増)、国立・私立を含めた中退率は1・4%で、全国36位となっている。

暴力行為の件数は、公立中で前年度の393件から186件に大きく減少。公立小も97件(同20件減)に減り、公立高は前年度と同じ52件だった。内容は、児童・生徒間暴力が181件で最も多く、器物破損が96件、対教師暴力が52件で続いている。

中学校での減少の要因について県教委は「個々の生徒の状況を丁寧に見立て、組織的に対応し、未然防止に努めたことや、同一生徒の暴力行為についても再発防止に取り組んだことが挙げられる」としている。