お身代わり仏像が優秀賞 プラチナ大賞で
イノベーションによる新産業の創出やアイデアあふれる方策などにより、社会や地域の課題を解決している自治体や企業の取り組みを表彰する「第8回プラチナ大賞」の最終審査発表会が22日、東京都内で行われ、和歌山県立博物館が和歌山工業高校や和歌山大学と連携して実施している「お身代わり仏像」のプロジェクトが、最終審査進出の14件の中から「優秀賞・きらり活動賞」を受賞した。
最終審査発表会はユー・チューブで中継され、県が応募した取り組み「高校生・大学生と創る『お身代わり仏像』Project ~未来に伝える 和歌山の文化財~」のプレゼンテーションは、同博物館の大河内智之主任学芸員が担当した。
「お身代わり仏像」は、地域の寺社の仏像や神像を盗難被害から守り、信仰の場を維持するため、高校生や大学生と連携し、3Dプリンターなどの最新技術を使って作製した仏像レプリカを奉納し、実物を博物館で保管する取り組み。
大河内さんは、県内では2008年度以降、280件以上の仏像盗難被害が発生し、その原因として、集落の高齢化、過疎化により、地域で守られてきた仏像の維持・管理が難しくなっている現状を指摘した。
「仏像や文化財は地域の歴史そのものであり、魅力の根源。コミュニティーの結束の上で核となる重要な役割を担っている」と述べ、地域住民に文化財への関心を持ってもらいながら、維持・継承するための体制づくりをサポートするために、「お身代わり仏像」の取り組みを進めていることを説明。地域外の高校生や大学生が参加し、中心的な役割を担っていることの重要性を強調した。
審査委員長を務めた武内和彦・地球環境戦略研究機関理事長は「ことしはとりわけ素晴らしい取り組みが多く、甲乙つけ難かった」と参加団体をたたえた。
表彰式では、主催者のプラチナ構想ネットワークの小宮山宏会長(㈱三菱総合研究所理事長)から、同博物館の伊東史朗館長と大河内さんに賞状とトロフィーが授与された。