延長制し天皇杯4回戦進出 アルテリーヴォ

天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会(日本サッカー協会など主催)は28日、3回戦が行われ、和歌山県代表のアルテリーヴォ和歌山(関西リーグ1部)は大阪市のヤンマースタジアム長居で大阪府代表のFC TIAMO枚方(同)と対戦し、3―2で勝利した。2点差の苦しい展開から延長戦の末、大逆転を果たし、県勢最高成績を更新する4回戦進出を決めた。

両チームは同じ関西リーグ1部でしのぎを削るが、枚方は元韓国代表MFチョ・ヨンチョルら厚い選手層を誇る強豪。今季リーグ戦は枚方は1位、アルテリーヴォは6位で終え、直接対決ではアルテリーヴォが0―5で敗れている。

アルテリーヴォにとっては今季の公式戦は天皇杯を残すのみ。枚方へのリベンジも含め、チームが強い思いをもって臨んだ試合となった。

アルテリーヴォは豊富な運動量で高い位置からボールを奪いに行く攻撃的なサッカーを展開。何度も相手ゴールを脅かしながらも決めきれない中、前半42分にチョ・ヨンチョルのヘディングシュートで先制を許した。

後半8分には2点目を奪われたが、13分に選手2人を入れ替え、攻撃のギアを一段と上げると、23分に相手のクリアミスによるオウンゴールを誘い、1点差に。さらに直後の25分、相手パスから奪ったボールを素早くゴール前のスペースに運び、駆け込んだMF山本大稀が右足で流し込み、同点に追い付いた。

試合は2―2のまま30分間の延長に突入。流れを引き寄せたアルテリーヴォは終盤まで運動量が落ちず、貪欲にゴールを目指した。延長後半4分、けがから復帰し、今季公式戦初出場となったMF林祥太が、山本からのパスを右足で振り抜き、試合を決める3点目を奪った。

両チーム合わせてシュート24本、コーナーキック17本の激しい戦いに、詰め掛けた両チームのサポーター785人からは何度もどよめきや拍手が起こった。

アルテリーヴォの北口雄一監督は「選手はタフに走り抜いてくれた。諦めないメンタリティーが勝利につながった」と選手をたたえ、大北啓介主将は、今季限りで引退を発表している久保裕一選手にふれ、「このまま引退させていいのか、まだシーズンを終わるわけにはいかないという思いだった」と明かした。

決勝ゴールを決めた林選手は「点を取る形で貢献できて良かった。和歌山のチームを全国に知らせることは天皇杯でしかできない。これからも一戦一戦勝っていきたい」と次戦への決意を話した。

アルテリーヴォは12月12日または13日に行われる4回戦に進出する。対戦相手や会場は未定。

 

延長後半4分、右足で決勝ゴールを奪う林㊧