親子の居場所守る ぐるんぱ利用者が署名活動
来年度、和歌山県和歌山市の地域子育て支援拠点が現在の12カ所から10カ所になることを受け、拠点施設となっている「ほっとルームぐるんぱ」(同市福島)の利用者らが、施設の存続などを求めて署名活動を行っている。メンバーは「親たちにとっての駆け込み寺。ここがあるから安心して子育てができる。市には施設の配置方針について考え直してほしい」と訴えている。
地域子育て支援拠点は、主に乳幼児(0~3歳)を持つ子育て中の親とその子どもを対象に、地域の遊びの広場として、和歌山市が市内に12カ所開設している施設で住まいの地域に関係なく利用することができる。
保育園や認定こども園に併設されているものや、公共施設に併設されているもの、店舗や住宅街の一角などで気軽に利用できるものなど形はさまざまで、施設の特色を生かし、子育て支援や相談を行っている。
同市は10月14日、来年度から市を10ブロックに区切り、各ブロックにつき1施設の配置とすること、それに伴い、新規事業者の参入も受け付け、企画書の提出などから業務委託先を決定するプロポーザルの実施を公表した。
これまでなかったブロックという区切りを、現在の施設の場所に当てはめると、1ブロックに2施設となってしまうのは、「貴志・野崎・湊・楠見」ブロックと、「三田・岡崎・安原・西山東・東山東」の2ブロック。現段階でこの2ブロックについては、少なくとも既存の施設のどちらかが本年度をもって地域子育て支援拠点施設の委託から外されることになる。
「ぐるんぱ」は、特定非営利活動法人「きのくに子どもNPO」が運営。「貴志・野崎・湊・楠見」ブロックにあることから、存続を求め利用者らがつくる親の会が署名活動を開始。同会のメンバーの他、ぐるんぱを卒業した過去の利用者らからも、「10ブロックが選定されたが、各ブロックにおける乳幼児の人数が、多いブロックと少ないブロックでは6倍以上の差がある。単純に1ブロックに1施設という配置でいいのか」「もともと親子が気軽に集える場が多くない中、2施設減ってしまうことに疑問を感じる」などの声が上がっているという。
市子育て支援課は「地域ぐるみで子育て支援を行っていく中で、エリアに偏りなく拠点を設置するための決定。2015年に7カ所だった認定こども園が本年度は30カ所と年々増えており、育児への負担軽減も図られている」などと理解を求めている。
ぐるんぱのコーディネーターで17年前から親子に寄り添う佐藤百子さんは「この場所を頼って利用してくれている親子を、追い出すようなことはできない」と訴える。集まった署名は5200人以上。11月中に市に嘆願書を提出するという。