県文化賞に神﨑さん 本年度表彰に6人1団体
本年度の和歌山県文化表彰の受賞者6人と1団体が決定し、文化の向上発展に特に顕著な業績を残した文化賞に、高野口町(現橋本市)出身、生物学者で東京大学先端科学技術研究センター所長の神﨑亮平さん(63)が選ばれた。表彰式は16日に和歌山市の県庁で行われる。
県文化表彰は1964年度に始まり、本年度で57回目。その他の受賞者は「文化功労賞」に和歌山市の版画家でことし2月に84歳で亡くなった尾﨑斎晃(よしあき)さん、御坊市出身の歴史学者の小山譽城(よしき)さん(69)、「文化奨励賞」には和歌山市出身で日本舞踊家の尾上菊透(おのえ・きくゆき)さん(40)、橋本市出身で尺八奏者の辻本好美さん(32)、和歌山市出身でピアニストの中谷政文さん(37)、新宮市の熊野速玉大社祭事保存会が選ばれた。
受賞者の主な経歴などは次の通り。
【神﨑亮平さん】
筑波大学大学院博士課程生物科学研究科で理学博士号を取得。現在の人工知能を超えた、より人や環境にやさしい知能の構築に関する研究を進め、スーパーコンピュータ「京」を使用し神経細胞からカイコガの脳の神経回路モデルを精密に再現した。
【尾﨑斎晃さん】
白と黒だけで全ての作品を構成。失われつつある懐かしいまちなみや建物を題材に、和歌山を取り上げた作品も多い。海外でも高い評価を受け、昨年の第69回板院展では東京都知事賞に選ばれている。
【小山譽城さん】
江戸幕府から徳川御三家に付けられた家老の付家老を研究。幕藩体制下における御三家付家老の存在意義を明らかにした。県内の多くの自治体史の編さん委員としても活躍している。
【尾上菊透さん】
3歳で日本舞踊を始め、若手舞踏家の登竜門ともいわれる「新春舞踊大会」では2018年から3年連続で入賞を果たしている。歌舞伎公演、宝塚歌劇、ミュージカルなどで指導も行うなど分野を超えて活躍している。
【辻本好美さん】
高校時代から尺八を始め、2016年には和楽器×洋楽アルバム「SHAKUHACHI」でメジャーデビューしワールドチャート1位を獲得した。現在も県内での演奏活動を積極的に行っている。
【中谷政文さん】
4歳からピアノを始め、幼少期から数々のコンクールで受賞を重ねる。2018年には和歌山市文化奨励賞を受賞しており、昨年は県内で開かれた音楽祭「きのくに音楽祭」にも出演した。
【熊野速玉大社祭事保存会】
1964年に創立。新宮市の熊野速玉大社を中心とする速玉祭、御燈祭りを執行、運営している。伝統文化を継承するだけでなく、熊野の世界遺産を活用した魅力発信などにも取り組んでいる。