HYDEさんら受賞 和歌山市文化表彰決まる
和歌山県和歌山市の文化向上、発展に功績のある個人・団体に贈られる2020年度市文化表彰の受賞者が決まった。「文化賞」に市出身で音楽家のHYDEさん(51)=東京都=、「文化功労賞」に紀州桐箪笥(たんす)職人の志賀啓二さん(71)、カナダ・リッチモンド市と和歌山市の国際交流に尽力したユズル・ジム・コジマさん(82)=カナダ=、「文化奨励賞」に児童文学作家の髙田友紀子さん(25)、山東まちづくり会(湯川正純会長)の4人と1団体が選ばれた。【写真はコジマさんと髙田さんを除き和歌山市提供】
HYDEさんは、ロックバンド「L'Arc~en~Ciel(ラルク・アン・シエル)」のボーカルを務め、バンドのほとんどの楽曲で作詞を手掛けるなど中心的存在として活動。全世界で4000万枚以上のCDセールスを誇り、コンサート動員も累計400万人を超える。ソロ活動も積極的に行い、19年1月30日に「和歌山市ふるさと観光大使」第1号に就任。南海電鉄の特急サザンとコラボレーションしたラッピング列車「HYDEサザン」のプロデュースにも関わる。国内外で人気を博すアーティストであり、音楽文化の普及・発展とともに、市の地域振興にも大きく貢献している。
志賀さんは、和歌山市で江戸時代から作られていたといわれる桐箪笥の製作を手掛け、伝統工芸を継承するシガ木工の6代目。箪笥製造の技術は県内外で高い評価を受け、経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されている。志賀さん自身が伝統工芸士の認定を受けているだけでなく、社内で7人の伝統工芸士を育成。優れた技術者であるにとどまらず、後進の指導育成、伝統工芸の発展に多大な功績を残している。
コジマさんは日系移民2世で、和歌山市と1973年に姉妹都市提携したカナダ・リッチモンド市の姉妹都市委員会の副会長を務め、45年にわたり、両市の友好関係向上に尽力。74年には国際柔道連盟の審判員に選出され、6回のオリンピックに参加し、カナダ柔道連盟の副会長・会長を歴任した。11年の東日本大震災の際は、和歌山市の紹介で、リッチモンド市で募った義援金を宮城県女川町に寄付するなど、国際交流に大きな貢献をしている。
髙田さんは、生まれつき肢体に障害があり、車いすで生活しながら児童文学作家として活動し、19年に『はじめてのうみ』と『やさしいきもち』、20年に『ゆうきとえがお』を出版。「ゆっこりん」の愛称で親しまれ、執筆の他、講演や「ゆっこりんのおはなし会」の開催などの活動に取り組み、県サーフィン連盟アンバサダー、和歌山ライフセービングクラブアンバサダーも務める。偏見や差別をなくす活動に尽力し、今後のさらなる活躍が期待される。
山東まちづくり会は、09年に和歌山市山東地区の地元住民が結成し、「山東の人をつなぎ、山東で人をつなぐ」を合言葉に、地域活性化に取り組んでいる。現在は20~80代の幅広い年齢層の会員が、豊かな自然を生かしたイベントを実施している。マスコットキャラクターの「たけのこまん」は市民に定着し、親しまれており、同会の活動は、今後の市の地域活性化にとっても大きく期待される。
市文化表彰は1982年度から実施しており、39回目。受賞者は今回を含めて142人、28団体。
受賞者には表彰状と徽章(団体には盾)、副賞が贈られる。表彰式は26日、和歌の浦アート・キューブで行われる。