2年連続減の1446億円 和歌山市21年度予算案
和歌山市は16日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比3・8%減の1446億6432万円で、2年連続の減少。新型コロナウイルスの影響による市税の減収など歳入面で厳しい一方、建設事業など投資的経費を削減し、コロナ対策と重点政策の予算を確保した。尾花正啓市長は「地方創生の新たな潮流を的確に捉え、持続的な発展を遂げる『暮らしを守り、未来へ希望をつなぐ予算』とした」と話している。
一般会計に特別会計と公営企業会計を含めた予算総額は、前年度比2・8%減の2811億1737万円となった。
新型コロナ対策を最優先課題とし、PCR検査や入院医療費の助成、事業者支援などを継続し、新たにワクチン接種の体制整備、医療従事者への慰労金の給付などを行う。
一方で、生活様式や働き方が様変わりした現状を好機と捉え、企業誘致や移住者への支援などを推進し、市内への人口移動を目指す他、デジタル化の推進などに力を入れる。
コロナ対策以外の政策は、第5次市長期総合計画(17~26年度)の分野別目標に掲げる「安定した雇用を生み出す産業が元気なまち」「住みたいと選ばれる魅力があふれるまち」「子供たちがいきいきと育つまち」「誰もが安心して住み続けられる持続可能なまち」の4点に沿って重点化が図られている。
予算案は22日開会の2月定例市議会に提案される。
【一般会計歳入】
市税の減収などにより、自主財源の構成比が44・7%(前年度45・3%)に下がり、依存財源の比率が大きくなった。
市税は42億3000万円(7・2%)減の546億1000万円。減収の内訳は、新型コロナ対策による減免措置に伴い、固定資産税が29億5000万円減るのが最も大きく、次いで、新型コロナの影響を受けて各企業、個人の収入減が見込まれ、市民税が19億5000万円の減となっている。
繰入金などその他の自主財源は、税源不足が拡大し、貯金に当たる財政調整基金の繰入額が5億6000万円増えたことなどにより、8・5%増の100億9000万円。同基金の残高は、21年度末で52億7000万円を見込む。
依存財源は、地方交付税と、償還が同税で措置される臨時財政対策債の合計が2・7%増の175億1000万円。借金に当たる市債発行額は、災害復旧を含む建設事業債の減少で48・4%減の67億4000万円となる。
新型コロナ対策の地方税減収補填(ほてん)特別交付金により、地方特例交付金が約10倍(884・2%増)の35億4000万円。国県支出金は、新型コロナのワクチン接種対策費負担金の増額や、土木関係補助金と交付金の減額などにより、1・1%増の419億5000万円となっている。
【一般会計歳出】
義務的経費は1・5%減の889億1000万円。うち人件費は、退職金の減少などで2・6%減の254億円。扶助費は、生活保護扶助の減少、障害者福祉サービス等給付費の増加などにより0・9%減の467億9000万円。市債の返済などに充てる公債費は、1・5%減の167億2000万円となっている。
投資的経費は45・5%(67億5000万円)の大幅減で80億7000万円。要因は、和歌山城ホール整備(24億円減)、消防活動センター整備(11億4000万円減)などの大型事業が終盤となり、関係費用がピークを超えたため。
その他の経費は5・4%(24億5000万円)増の476億8000万円で、新型コロナのワクチン接種事業(14億6000万円増)などが要因。
【特別会計・公営企業会計】
特別会計は、国民健康保険事業や介護保険事業、駐車場管理事業など14会計合わせて1・7%減の972億8685万円。公営企業会計は2・1%減の391億6620万円となっている。