和市消防にVR防災体験車 塚本さん寄贈

バーチャル・リアリティー(VR)により地震・津波・火災の3種類の災害をリアルに疑似体験できる「VR防災体験車」が、全国で2番目に和歌山市消防局(八番丁)に配備された。16日、車両を寄贈した㈱賃貸住宅センター(美園町)の塚本治雄代表取締役や尾花正啓市長らが出席して披露式が行われた。

VR防災体験車の導入は、東京消防庁に次いで全国で2台目。塚本さんが昨年5月、高規格救急車2台や新型コロナウイルス対策のオゾンガス式除染装置などともに寄付した総額約1億8000万円相当のうちの一つで、リアルな体験を通じて、市民の防災意識を高めることが期待される。

塚本さんはことし1月にはさらに3億円を市に寄付。寄付金を積み立て、医療従事者の支援などを目的とする「市塚本治雄基金」を創設する条例が2月市議会で成立している。

披露式では、尾花市長が塚本さんからレプリカキーを受け取り、「市を代表して心からお礼申し上げる。災害からどうしたら身を守れるか、しっかり学習してもらえるよう活用したい」と感謝。

車両の内部がお披露目され、4台のVRチェアに座ってVRゴーグルを装着することで、360度の立体映像と連動するチェアの揺れにより、リアルな擬似体験ができることが紹介された。

会場には市立伏虎義務教育学校の4年生40人が参加し、体験車に乗車。大地震のVRを体験した石田大翔さん(10)は「リアルで恐怖感もあった。揺れで電子レンジが飛んできたりして、本当の地震の時はもっとすごいのかなと思った」と話していた。

塚本さんは「皆さんのお役に立ててうれしく思う。和歌山は南海トラフ地震が来る。VRで体験しながら、対応を身に付けてもらえたら」と笑顔だった。

VR防災体験車は今後、消防局防災学習センターの開館日に体験できる他、防災の出前講座などで出動し、市民に体験の場を提供する。

VR防災体験車の前で塚本さん(後列中央右)、尾花市長(同左)、伏虎義務教育学校の児童ら

VR防災体験車の前で塚本さん(後列中央右)、尾花市長(同左)、伏虎義務教育学校の児童ら