新頭取に原口氏 紀陽銀が人事と次期計画

㈱紀陽銀行(和歌山市本町)は22日、松岡靖之頭取が会長に、原口裕之常務執行役員経営企画本部長が頭取に就任する役員異動を発表した。同日、同市で行われた第6次中期経営計画(21年4月~24年3月)の発表会見で明らかにした。第5次中期経営計画では当初の業績予想を大きく上方修正。次期計画を新たなリーダーでスタートさせて経営体制の一層の強化を図るため、今回の頭取の交代となった。

会見の冒頭、松岡頭取は「第5次中期経営計画が全ての目標値において上回る形で着地した。筋肉質な経営を目指し、本業利益の収益力の向上に取り組み、今後も安定した結果が示せるのではないか」とした上で、「新たなステージ(第6次中期経営計画)には新しいリーダーにバトンを渡すことを判断した」と、6月29日付で原口氏が頭取に就任することを明らかにした。

現行の第5次中期経営計画において、メーンバンクとして利用する顧客(コアカスタマー)戦略の展開や中小企業向け貸し出しの増強、金融サービス高度化に向けた営業体制整備や、営業体制構築に向けた業務効率化の取り組みなど主要戦略を推進。本業で稼ぐ力とされる「顧客向けサービス業務利益」は、最終年度39億円以上の目標に対して20年12期で63億円を計上、21年3月期の業績予想は目標を大幅に上回る85億円と見込んでいることを発表した。

また第6次中期経営計画の中で、事業性コアカスタマー先を増やす計画や、ことし7月に和歌山営業本部を新設し、大阪堂島店営業部の競争力拡大などで中小企業分野へ経営資源の集中投下を行う。グループ機能を活用した新たな収益機会の創出、戦略を実現するための人材育成と人事制度改革を主要戦略に掲げた。

経営指標として「顧客向けサービス業務利益」を24年3月期を100億円以上、本業OHR(経費率)を75%以下、親会社株主に帰属する当期純利益は連結で125億円以上、ROE(株主資本利益率)は連結で5%以上を目標としている。

原口常務は「中小企業との取引で圧倒的な競争力を有する地方銀行を目指す活動を通じて、地域に対する感謝を忘れず地域の発展に貢献する強い使命感を持って〝銀行をこえる銀行〟を目指す」としている。


原口氏は1962年11月生まれで58歳。同志社大学法学部卒業後、85年に入行し住吉支店長や田辺支店長などを歴任。2017年に取締役となり、管理本部長や企画本部長などを経て、20年現職の経営企画本部長を務めている。6月29日に行われる株主総会で選任される。

会見に臨む松岡頭取㊨と原口常務

会見に臨む松岡頭取㊨と原口常務