カラオケで感染拡大 コロナ陽性最多の44人
和歌山県は9日、県内の10歳未満~90代の44人が新たに新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表し、一日当たりの感染者数の最多を更新した。カラオケをした人の感染が同日だけで15人、4~9日の累計で37人に達し、県福祉保健部の野㞍孝子技監は「家族以外とのカラオケはやめていただきたい」と改めて呼び掛けた。
県内の感染者は累計1498人、入院中の患者は病床数330に対し229人に達し、使用率は69%まで逼迫(ひっぱく)。4段階の感染状況のうち最も深刻なステージ4の目安50%を超えている。
44人のうちすでに感染が発表されている人の濃厚接触者は31人、新規は13人。保健所管内別の内訳は、和歌山市26人、海南6人、岩出5人、橋本と田辺が各3人、県外在住で同市に出張中が1人。
直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は、県全体で19・4人、和歌山市が25・9人、橋本市が40・5人で、紀北ではステージ4の目安25人を上回る状況となっている。
9日の発表分では、和歌山市中之島のカラオケ喫茶「ハッピー」を利用した10人の感染が確認され、同店での感染者が計18人となり、県内33例目のクラスター(感染者集団)に認定された。県は、3月25日以降に同店を訪れた人に、最寄りの保健所に連絡するよう呼び掛けている。
同店では、マイクの消毒、歌う場所と客席の間にビニールシートを設置するなどしていたが、利用者はマスクをしていなかったという。ビニールシートの設置は空気を遮断して換気を悪くするため、野㞍技監は「必ずしも正しい予防対策ではない」との認識を示した。
同店以外でもカラオケをした人が感染する例が相次いでおり、カラオケ後に発熱やせきなどの体調不良がある場合は、早い目に医療機関を受診するよう求めている。
また、発表済みの陽性者のうち新たに9人が変異株によるものと分かり、変異株の感染者は累計135人。国は8日、変異株感染者の退院基準を従来株の患者と同様に緩和する通知を出し、県も9日から適用している。ただし、退院後は患者に1週間の自宅待機を求め、保健所で健康観察を行う独自の対応を取る。