夏告げるキイシモツケ 緑花センターで見頃

和歌山県の天然記念物に指定されているキイシモツケの花が、岩出市東坂本の県植物公園緑花センターで見頃を迎えている。

県の特産種で、その花は5~6月に咲き、紀北に夏の訪れを告げる。バラ科シモツケ属に分類され、中部地方の山地の岩場などで見られるイワシモツケの変種。鉄やマグネシウムを多く含む蛇紋岩が分布する龍門山(紀の川市、標高756㍍)山頂付近は群生地となっている。

同センターではパノラマ花壇から薬草園に向かう通路沿いで栽培されている。一つの花は1㌢ほどで、花びらは5枚。10輪ほどが淡雪をのせた傘のように集まり、長い枝を純白に染める。花に集まる虫たちの姿も多く見られる。

県のレッドデータブック(2012年改訂版)では準絶滅危惧種とされている希少な植物。同センター内では人の手で守られているが、自然の群生地では、今後も美しい姿を残していくため、周辺の環境保全が求められている。

キイシモツケの花に集まる虫たち

キイシモツケの花に集まる虫たち