おにぎりで医療従事者応援 平和酒造とシェフ
新型コロナ禍で奮闘する医療従事者を応援しようと、和歌山県海南市溝ノ口の平和酒造㈱(山本典正代表取締役社長)は5月31日、東京のレストランのオーナーシェフらと協力し、全国で行われている「おにぎりプロジェクト」に参加。海南医療センター(同市日方)に手作りのおにぎり300個を届けた。
同プロジェクトは世界で活躍するシェフらが全国の酒蔵を訪問し、その土地の米や食材、酒蔵の仕込み水を使っておにぎりを作り、地域の医療従事者に届ける活動。東京のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ・成澤由浩さんと、「WAGYUMAFIA」のオーナーシェフ・浜田寿人さんが、ことし2月に活動を始めた。
シェフらの店舗で同酒造の酒を提供していることから、プロジェクトの4回目の取り組みとして、和歌山で行われることになった。この日は午前5時から、同酒造でシェフらを含め約15人が米30㌔を羽釜で炊き、おにぎりを握った。
「和歌山らしい食材を」と、和歌山市津秦産の米を酒蔵の仕込み水で炊き、具材には県産の梅干しやシラス、実山椒などを使用。塩はミネラルたっぷりでうまみが特徴の熊野の黒塩を選び、色合いを考え熊野のめはり高菜を巻くなどした。
浜田シェフは「おにぎりに一番合う梅干しを使いたかった」と話し、中松梅園の南高梅の種を取り除きペースト状にし、同酒造の日本酒と煮詰めた「煎り酒」でのばした南高梅を具にした。しょうゆができる前の室町時代の調理法で、「昔ながらの酸っぱさはあるが和歌山の米とのバランスがとてもいい。冷めてもおいしい」という。
その後、同センターで贈呈式があり、シェフらが同センタースタッフにおにぎりを手渡した。
受け取った同センターの大浦順司事務長は「われわれ以上にご苦労されている飲食業の方々の心遣いが励みになる。おいしくいただきます」と感謝。成澤シェフは「健康で料理ができるのは医療従事者皆さんのおかげ。直接会って受け取ってもらえて感謝の気持ちでいっぱい」と話した。