紀美野に移住の夫妻 県のセミナーでトーク
和歌山県紀美野町福井で民宿「四季の宿きみの」を経営している平石誠さん(67)・冨士子さん(62)夫妻は5日、県主催のオンライン移住セミナー「わかやまLIFE Cafe」に先輩移住者としてゲスト出演し、トークセッションなどを通して移住先を選ぶポイントや田舎暮らしの楽しさ、大変さなどを伝えた。
平石さん夫妻は誠さんの定年退職をきっかけに「定年後は、のんびり過ごしたい」と、大阪府吹田市から2017年に同町に移住した。
海釣りが趣味の誠さんは、「和歌山県内に移住したい」との思いがあり、県内一円を周って移住先を探した。その中で訪れた同町の景色を見て「ここは広々としていいなぁ」とほれ込み、この地に決めた。
暮らしている家の目の前には棚田が広がり、すぐ近くにホタルが飛び交う渓流がせせらぐ。川の向こうには生石山があり、山頂には生石高原が見える。
今回のセミナーは、県内への移住希望者を対象に、オンライン会議システムのZoomを使って配信。5月29日に開いた串本・古座川編に続く第2弾で、県内各市町の移住支援制度などの紹介、個別相談も行われた。
参加した25人からは「紀美野町はどんな所?」「移住に向けて、まず何をしたら良いのか?」などの質問があり、個別相談では、小中学校までの距離や送迎方法、畑を借りるためにはどうすればいいか、などの具体的な生活上の疑問も寄せられた。
誠さんは「交通の便や環境を考慮して移住場所を選んだ方がいい」「移住に関しては役場が手助けをしてくれる」「その地区に行って何をしたいかを明確に持っていたほうがいい」などと丁寧にアドバイスを送った。
移住して大変だったのは畑のこと。畑で農作物を育てた経験が全くなく、荒れ放題の土地を耕すことから始めた。スズメバチに刺されたり、草刈りの途中で段差から落ちて骨折したりもした。それでも、「移住して良かったか?」との問い掛けには「大変なこともあったが最高」だと答えた。冨士子さんも「近所の人たちにも歓迎され、不便なく住み心地はいい」と笑顔で話した。
「四季の宿きみの」では、誠さんが釣った魚や畑で採れた野菜をランチやディナーで提供。宿泊だけでなく、日帰り利用(要予約)ができるのも人気となっており、山登りや川遊び、ホタルや星空の観賞なども気軽に楽しめ、近隣地域からも訪れる人が多い。
移住した紀美野町で新しい人生を楽しんでいる平石さん夫妻の話に、参加者は熱心に聞き入っていた。
県内の移住に関する情報は「わかやまLIFE」のホームページ。