奥野さん夫妻が紙すき草木染展 27日まで

和歌山県田辺市龍神村で創作活動を行う奥野誠さん(68)と妻の佳世さん(69)の作品展「奥野誠・奥野佳世二人展―紙漉と草木染による作品―」が和歌山市十二番丁のMsギャラリー12番丁で開かれている。27日まで。

奥野さん夫妻は、同村で昔から作られ戦後間もなく途絶えてしまった山路紙(さんじがみ)を復活。現在は同村で「山路紙紙漉(す)き工房」を営み、地元産の楮(こうぞ・紙の原料)を使用した作品づくりなどを行っている。

今展では、山路紙と草木染で描いた額装作品や風炉先びょうぶ(茶道で使う二つ折りのびょうぶ)、楮の繊維で作った立体物など約30点が並ぶ。山路紙の紙すきや立体物の作品は誠さん、草木染や水彩画の作品は佳世さんが担当。

作品「森」シリーズは、2年ほど前に起きたアマゾンの森林火災をきっかけに取り組んだもの。恵みを与えてくれる象徴として、森林の命をたたえている。山路紙の優しい白色の紙に、草木染で染めた楮の繊維で描いた色とりどりの木々が並ぶ。染料は藍、インドアカネ、コブナグサ、アカメガシワなどから煮出したものを使用。自ら収穫した草花も使用しており、「自然の恵みでどれだけ自分たちの表現ができるか。どれだけ一体になれるか」を心掛け、昔のやり方と同じ、自然に沿ったものづくりをしていると佳世さんは言う。

作品「四角錐」は、紙の原料である楮をピンセットで一本一本展開図の形に広げ、組んだもの。同村で収穫した楮を灰で炊き、水と太陽にさらしたもので、薬品などは使用しておらず、自然な白のやわらかい色味となっている。

奥野さん夫妻は、「自然の魅力がいっぱいです。展示を楽しんでいただければ」と話している。

午前11時から午後7時(最終日は4時半)まで。作家は土・日曜に在廊予定。22日は休廊。

問い合わせは同ギャラリー(℡073・431・8255)。

作品を前に奥野さん夫妻

作品を前に奥野さん夫妻