おうちで埴輪を作ろう 体験キットが人気

和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)では、新型コロナウイルス感染症拡大で外出がしづらい昨今、家での時間を楽しんでもらおうと、粘土で埴輪(はにわ)を作る「おうちでハニワづくり」体験キット(350円)を販売。販売を開始したことし5月から約300個が売れ、子どもから大人まで楽しんでできると好評だという。

同施設がある特別史跡岩橋千塚古墳群は、総数800基超の古墳を擁す4世紀から7世紀にかけて造られた全国有数の群集墳。発掘調査の結果、大量の埴輪などが出土している。

同館によると、新型コロナウイルス感染症拡大のため、小学校などの遠足の中止や延期が相次ぐ中、今まで同館で体験していた埴輪作りを家や学校などでも楽しめないかと考え、同キットを制作。同館の田中元浩学芸員(40)は「皆さんに、『紀伊風土記の丘といえば?』と聞くと、『埴輪や勾玉(まがたま)を作ったよ』という声が多かった。館としても、コロナ禍でも思い出を何らかの形でつくってもらうことが大切」と話し、今は週に2~3回、同キットで埴輪を作る出前授業も行っているという。

キットの中身は、粘土(750㌘)、作り方の説明書、出来上がった作品の内容を記入する作品カード。目の穴を開ける竹筒や模様などを書く竹串は自分で用意する必要がある。つまようじや鉛筆など、自宅にあるものでも代用可。

「埴(はに)」は昔の言葉で「粘土質の土」のこと。粘土を輪にしたものを積んで作るから「埴輪」。その名の通り、作り方は、大人の親指くらいの太さにのばした粘土を直径7~8㌢の輪にし、それを積み上げる。表面の溝を平にならし形を整え、最後に目の穴や好きな模様などを書いて出来上がり。作り方は、ユー・チューブでも確認できる。2週間ほど乾燥させ、作品カードとともに同館受付に持っていけば、焼き上がるのを待つばかり。完成は、約1カ月後、同館ホームページで知らせてくれる。郵送も可(着払い)。

同キットで作った埴輪は、27日に同館で開かれるオリジナル埴輪のナンバーワンを決める第12回HANI‐1選手権にエントリーすることができる(27日まで受け付け)。ことしの出場作品は、例年に比べてレベルが高く、かなりこだわった作品もあり激戦が予想されるという。「家で子どもと作っているうちに、親も熱が入ってしまったのかな」と自身も子どもと一緒に埴輪作りを楽しんだ田中学芸員は笑顔で話す。記者も、4歳の娘と一緒に挑戦。制作時間は、平均1時間半というが、あまりの楽しさに時間を忘れて熱中。侮るなかれ、埴輪作り!

同館ではこの他、紙ヤスリで蝋石を削り勾玉を作る体験キット(300円)や火おこし体験ができる道具(500円)も販売中。ぜひ、家で古代人の生活を楽しんで♪

問い合わせは同館(℡073・471・6123)。月曜日は休館。

 

キットを手にする同館の田中学芸員