土石流の危険を総点検 熱海市の災害受け県
静岡県熱海市で3日に発生した大規模な土石流災害を受け、和歌山県は7日、県内の土砂災害警戒区域などのうち、過去に盛り土造成が行われた箇所を洗い出し、総点検すると発表した。仁坂吉伸知事は同日の定例記者会見で「まず危ない所がないか探し、見極める。住民からも情報を寄せていただきたい」と呼び掛けた。
熱海市の土石流では、6日までに7人の死亡が確認され、27人の安否が分かっていない。土石流の上流側にあった盛り土が原因で崩落が起き、被害が拡大したとの見方が出ていることから、県は総点検を決めた。
総点検ではまず、1996年と2019年に撮影した航空写真を比較し、盛り土の可能性のある地形改変箇所を抽出。県内の土砂災害警戒区域(土石流=5505カ所、急傾斜の崩落=1万5807カ所)と、県や各市町村に保管されている林地や宅地などの各種開発事業、残土処分場など比較的規模の大きい盛り土造成地のデータを突き合わせていき、点検が必要な箇所を洗い出す。
住民からも情報を募り、市町村と協力して点検した上で、安定性の評価が低い箇所は定期的に確認し、必要に応じて対策工事などの対応を検討していく。
点検を終える時期について仁坂知事は「急がなければならないが、期限を切ると(点検箇所が)漏れる可能性がある」と述べ、丁寧に洗い出し作業を進める考えを示した。