こども食堂の充実へ 和歌山市で連絡協設立

地域における食を通した子どもの居場所である「子ども食堂」――。コロナ禍で本来の活動ができない中、実施団体の交流、情報発信・共有、研修、広報啓発を通して和歌山市内の子ども食堂の発展を目的とする「和歌山市こども食堂連絡協議会」(岡定紀会長)が4月に設立された。地域の交流が希薄になり、見守り力が低下している今だからこそ、より連携して子どもを見守る活動に取り組んでいくとしている。

市内16カ所の子ども食堂のうち、こはうすの家(楠見中)、おのみなとこども食堂(下町)、鳴神子ども食堂(鳴神)、こども広場(中之島)、こども広場(栗栖)、ぽかぽかこども食堂(中央・北コミュニティセンター)、みやきたこども食堂(黒田)、ほんまち子ども食堂(北桶屋町)の8団体が同協議会に加盟(6月時点)。

岡会長は、コロナ禍で皆が協力していこうという機運がかえって高まったとし、「あくまで、子ども食堂はボランティア団体。運営側の孤立を防ぎ、情報などを共有しながらさまざまなことを解決していければ」と話す。協議会のネットワークを通じて、それぞれの子ども食堂の活動がさらに充実することを願っている。

子ども食堂の大きな役割は、子どもを中心に高齢者まで「誰でもつながれる地域交流の場」だと岡さんは言う。しかし新型コロナウイルス感染症拡大を受け、にぎわいやつながりづくりの場としての子ども食堂が開きにくくなり、岡さんが理事を務める「おのみなとこども食堂」では、休校の影響で学童保育に通う児童への弁当の提供や、地元の飲食店と協力し、子どもたちにテークアウトの食事をプレゼントするなどの企画を行い、地域が一体となって子どもを見守る活動をしてきた。

現在は、ひとり親を対象に米や食品などを無償で提供する「ひとり親家庭応援キャンペーン」を実施。コロナ禍で生活が厳しくなったというひとり親も多く、約200世帯が登録し、提供する米や食材は寄付などでまかなっている。

利用した人からは「本当にありがたい」という声がある一方で、子ども食堂での取り組みを「全く知らなかった。たまたま友人から聞いた」とまだまだ周知が行き届いていない現状がある。

岡さんは、市役所などへのチラシの掲示、ポスティングの媒体に掲載してもらうなど、できる限りたくさんの人に知ってもらえるよう努力。「取り組みを周知することで、協力してくれる店や人が増えてくれればうれしい。支援する側もフードロスなどに貢献できるのではないか」と話している。

利用者と顔が見える関係を築くことで、多様な相談を受けることもある。コロナ禍だからこその悩みを聞くことも多く、市内の他のこども食堂でも同じような状況だという。

協議会では今後、研修や勉強会などを通して互いの情報共有を進め、子どもたちが今、どこで、何に困っているのかを把握し、よりいっそう連携して支援していくとしている。

問い合わせは岡さん(℡090・8538・7949)。

地域の子どもたちが集まり、食事をしながら楽しい時間を共有している (2020年10月、おのみなとこども食堂提供)

地域の子どもたちが集まり、食事をしながら楽しい時間を共有している(2020年10月、おのみなとこども食堂提供)