支え合いの大切さ再認識 紀美野で防災訓練
9月1日の「防災の日」を前に、和歌山県紀美野町の美里中学校で29日、「地域共催総合防災訓練」が開かれた。同中学の生徒や地域住民、行政関係者ら109人が参加。水位計活用による河川氾濫への備えを学び、電力自動車からの電力供給の実践などで防災意識を新たにした。
上神野、下神野、福田地区の自主防災組織と美里中学校が共催した。同町と災害時の避難所への電力供給で協定を結ぶ予定のトヨタカローラ和歌山㈱も協力。訓練は同町の下神野小学校でも同時開催された。
ことし6月、和歌山大学クロスカル教育機構の秋山演亮教授が、川の増水時の住民の避難行動に役立ててもらおうと、同中学校近くの十三神社の宮橋に自身が開発した水位計を同中の生徒と設置。水位計から出る電波の跳ね返り時間で計測し、リアルタイムで配信されるデータを手持ちのスマートフォンやタブレットで知ることができるもので、この日、秋山教授は集まった参加者に「川の水位が把握できないと避難するタイミングが分からない。台風シーズンに備えて役立ててほしい」と呼び掛けた。
トヨタカローラ和歌山は、1500㍗の電力を供給できる水素自動車「MIRAI」を持ち込み、実際に体育館内の扇風機やテレビ、冷蔵庫などに給電し活用方法を説明した。
この他、簡易ベッドなどの防災グッズ展示やオンラインで摂南大学とのペットボトルランタン作り、ふれあいトークも行われ、この日の学びをどのように地域に広げていくのかなど今後の課題について話し合った。
同町下神野地区自主防災組織会長の松本守信さん(57)は「災害が起こったときは、地域の支え合いが重要」と話し、参加者は「実際体験することで安心感がある。家でも実践したい」「災害は忘れた頃にやって来るのではなく、毎日のようにどこかで災害が起こっている。防災に対し再認識できた」などと話していた。