公文書の紛失や放置 海草振興局建設部で

和歌山県は7日、海草振興局建設部と同部海南工事事務所で、公文書の紛失と、手続きを完了しないまま放置された疑いがある公文書の存在が多数確認されたと発表した。調査は継続中で、終了後に関係職員の処分などを検討するとしている。

同部によると、ことし6月、部内で手続きが完了していないと思われる公文書が見つかり、調査を進める中で公文書の紛失も判明。これまでに、河川の占有許可申請に関する2015~16年度の公文書の一部3件が紛失し、14~16年度の公文書の一部48件に手続き未了の疑いがある。

同部は昨年7月に和歌山市築港から同市森小手穂に庁舎を移転しており、その際、14~16年度の公文書が未整理のまま保管されていることが発覚。さらにことし1月の書庫の点検時、標題がないなど不適切な状態のファイルが発見され、未整理の公文書と時期が一致したことから、これらの公文書の確認作業を行い、6月に紛失と手続き未了の疑いが濃厚となり、本格的に調査に着手していた。

海南工事事務所でもことし6月、道路の占有許可に関する事務作業の際、参照しようとした前年度の公文書がそろっていないことが判明。これまでの調査で、18~20年度の道路の占有許可申請に関する公文書の一部11件と収入調定票の一部20件が紛失し、同期間の道路の占有許可などに関する公文書の一部5件に手続き未了の疑いがあると分かった。

紛失した文書には申請者の住所、名前、電話番号が含まれており、個人情報の漏えいは確認されていないというが、同部は申請者に説明と謝罪を行い、複数の職員が申請の進行管理ができる帳簿を作成するなどの再発防止策を実施する。

紛失、手続き未了が分かった公文書の処理はいずれも同じ職員が担当していたとみられ、同部はこの職員の担当期間の公文書の調査を続けている。

同部の汐﨑功部長は「県民の皆さまの信頼を失うこととなり誠に申し訳ございませんでした。今後、早期に全容解明に向け調査を進めてまいるとともに、再発防止に取り組んでまいります」とのコメントを出した。